耐震補助を「全国トップクラス」に 徳島県が補助額を3年間引き上げ
木造住宅の倒壊で多くの犠牲者を出した能登半島地震の教訓を踏まえ、徳島県は木造住宅の耐震改修に対する補助額を「全国トップクラス」(後藤田正純知事)へ3年間限定で引き上げ、改修を促進させる方針を固めた。耐震改修を巡っては、南海トラフ巨大地震による被害が想定される同県でも、自己負担の重さなどから踏み切れない住民がおり、補助拡充による負担軽減で後押ししたい考えだ。 【写真】崩れた実家の前で涙 妹は最期まで子供を守った 県住宅課によると、現在の補助事業は市町村が主体で、上限額は国50万円、県と市町村各25万円の計100万円。この県費負担を最大75万円に拡充する。県費補助は事業主体である市町村費と同額までという要件があるが、市町村が最大75万円へ拡充すれば、国費と合わせ最大200万円の補助が受けられる。 公費補助額は全体の80%までのため、250万円かかる耐震改修なら、住民負担は150万円から50万円に抑えられることになる。同県勝浦町では、現在も町独自の上乗せで計75万円を補助しており、最大200万円の支援が受けられそうだ。 県住宅課によると、一部の市町村が独自に上乗せしているケースも考えられるが、国費分を合わせた補助額では、高知県で165万円、福井県で150万円などとなっている。 また、自宅を担保に借り入れて死後に精算する「リバースモーゲージ」で耐震改修費を捻出する高齢者世帯を対象に、市町村が借入金の利子補給制度を設ける場合、県が利子の半額を負担する制度も新設する。市町村と合わせて無利子となる。 いずれの事業も県が7日に公表した2024年度一般会計補正予算案に関係費用を盛り込んだ。耐震改修補助については24年度当初予算に7500万円を計上しており、補正予算案にも7500万円計上して予算額を倍増させる。 徳島県内の住宅耐震化率は18年度時点で81・9%と全国平均(87%)を下回っており、耐震改修の促進が急務となっている。両事業は、事前の耐震診断で耐震性不足が判明した場合に対象で、県住宅課は「居住する市町村に相談してほしい」と呼びかけている。【植松晃一】