ショパン国際ピアノコンクール概要発表 来年10月予選・本選 世界のピアニストを輩出
しかし、ショパン・コンクールは歴史に残るピアニストを輩出してきた。アシュケナージ(1955年、2位)、ポリーニ(60年、優勝)、アルゲリッチ(65年、優勝)、内田光子(70年、2位)、ツィメルマン(75年、優勝)らが挙げられる。
一方で、コンクールの負の側面が露になったのが80年。モントリオールコンクール1位の実績を持つ旧ユーゴスラヴィア出身のポゴレリチは、ファイナルに進むことができなかった。独特の解釈が審査員の賛否を巻き起こしたのだ。アルゲリッチは「彼は天才よ」と言い、審査員を辞任、抗議した。コンクールは出発点に過ぎない。その後の演奏が多くの聴衆を感動させ、彼らは世界のスターになった。
■前回は日本人活躍
前回は2位に反田恭平とアレクサンダー・ガジェヴ、4位に小林愛実とヤクブ・クシュリックが入賞。3次予選には2人を含む5人の日本人が進出、日本のピアノ界は沸いた。
記者会見に出席した小林は2015年のコンクールでもファイナリストに残り、2回目の挑戦だった。
「コロナの影響で1年延期された分、準備ができました。コンクールの数カ月前から緊張していましたし、コンクール期間中はホテルの朝食が食べられませんでした。ショパン・コンクールはあこがれの舞台。自分に弾けると言い聞かせて、楽しもうと思いました。ショパンの作品だけという他のコンクールにない特色があります。ショパンを理解して、自分の思うショパンをコンクールまでに作り上げることです。コンクールの間はすごく濃い時間を過ごしました」と当時の思い出を語った。
■チケットは争奪戦?
ショパン・コンクールは世界で最も知られていてもPRに抜かりはない。第18回の参加応募者は約500人に上り、日本人は中国に次いで2番目に多かった。このときのコンクールの情報発信はすべての媒体で6万5000件におよび、広告換算値は約3900万ドルと換算されている。第19回の賞金総額は30万ドル。優勝賞金は4万ドルから6万ドルに大幅増額された。コンクールの概要発表はブラジル・サンパウロに続いて東京が2カ所目。続いてベトナム、タイワン、上海、ソウル、スペイン・イギリスと全世界で行われる。
鑑賞するためのチケットは10月1日から発売されるが、発売開始数分で売り切れが予想されている。チケットは約3万~10万円と高額だが、すでに日本の旅行会社では鑑賞ツアーの受け付けをはじめている。チケットを買えなくても公式サイトやユーチューブなどで視聴することができる。(江原和雄)