真田広之「プロダクションのパワーも通用しない」日本人俳優のハリウッド進出を語る
かつて、数々の時代劇やトレンディドラマで主演を務めてきた、俳優・真田広之さん(63)。 【写真】日本人俳優のハリウッド進出について語る真田広之 現在は日本のトップ俳優からハリウッドスターとなり、日本のテレビ番組にはほとんど出演しなくなった真田さんが、久しぶりにプロモーションで来日しました。 20年以上ハリウッドで闘ってきた真田さんだからこそ実感する「日本人がハリウッドで成功するための条件」を古市憲寿さんが聞きました。
「『お前は何できるんだ?』チヤホヤ絶対してくれない」
古市憲寿: 日本のテレビ出ていただけるんですね。いやいやじゃないですか? 真田広之: いえいえ。ご挨拶できる貴重なチャンスなので。 古市さんも緊張ぎみのお相手、真田さんは2003年、ハリウッド映画『ラスト サムライ』に出演し高い評価を受け、その後、アメリカを拠点に活躍。 ブラッド・ピット主演の『ブレット・トレイン』やキアヌ・リーブスと共演した『ジョン・ウィック:コンセクエンス』など、多くのハリウッド作品で存在感を放っています。 古市: 最近、日本の俳優さんで海外、ハリウッド出たい人が増えてきていると思うんですけど、でもなかなかうまくいかないのは、どんな理由があると思いますか? 真田: 向こうで活動するとなると、コミュニケーションはやはり英語が大事ですね。 オーディションで通訳を通さないといけない人だと「ハイ、次の人」ということにもなりかねません。 それから、日本のように名前があっても、チヤホヤは絶対してくれません。 「このクルーの前でお前は何ができるんだ?」と思われるので、納得させないと信頼してもらえないんですね。 ですから当然マネージャーも現場には来ませんし、単身、直にやりとりをして信頼を勝ち取っていくという感じです。 古市: 俳優さんにズラズラお付きがいるのは、日本のカルチャーっていうか。 真田: もう、世界で希有な業界じゃないでしょうか。ですから、守られすぎた人は「えっ!」ということになると思います。 プロダクションのパワーも通用しませんから。逆に言えば、厳しいけどもやりがいのある状況だと思います。 俳優だからといって、手厚く待遇されることもなく、頼れるのは自分の力のみ。 そんな真田さんも… 古市: もともと英語は苦労せずにしゃべれたんですか? 真田: いやいや。初めて、シェイクスピアカンパニーに飛び込んで英語でやることになった時に、慌てましたね。 まさに「四十の手習い」でしたから、後悔しました。「なぜやっておかなかったんだ、もっと早く」って。