相次ぐ“クマ被害”生活に影響も 秋田で追跡中にもクマ出没…急増のワケ【バンキシャ!】
日テレNEWS NNN
秋田県鹿角市で警察官2人などを襲ったクマ。「人間を“食べ物”と認識して攻撃する個体」とみられる危険なそのクマは、いったいどこにいるのか? 被害が相次いでいるワケは? バンキシャ!は、特殊なドローンや赤外線カメラなどを使ってその行方を追いました。【真相報道バンキシャ!】 *** 秋田県鹿角市。 バンキシャ! 「こちらでは、クマによる死傷事故多発地帯と書かれています。入山禁止ということで、厳重に今、通行止めになっています」 5月18日、この山で、タケノコ採りの男性が遺体で見つかった。その後、遺体を運ぼうとした警察官2人が、クマに襲われ大けがをした。クマは人を食べ物と認識していたとみられ、今も見つかっていない。現場から約2kmの場所に住む人は… バンキシャ! 「最近のクマはあまり人を怖がらない?」 住民 「怖がらないクマもいるみてぇだな」 郵便物を取りに行く時も、油断できないという。さらに隣町でも… 住民 「その辺に行くのも怖い。鈴とか身につけたり、音が出るものとか。もうその辺にいるのかなと思う」 人の暮らしを脅かすクマはどこにいるのか。バンキシャ!が徹底取材した。 *** 操縦士 「離陸します!」 特殊なドローンを使い、上空から探す。取材を続けるバンキシャ!。すると突然… バンキシャ! 「うわ、クマだ! クマいた!」 秋田県鹿角市で、警察官を襲ったクマ。いったい、どこにいるのか―― 25日、バンキシャ!は、赤外線カメラを搭載したドローンを用意。現場から約2km離れた規制線の外で、クマ撃退スプレーを準備し、取材を始めた。 操縦士 「それではプロペラ回します。離陸します!」 20℃以上の熱を感知すると赤く表示するよう赤外線カメラを設定。赤い部分が動けばクマなどの生き物の可能性がある。現場に向かい、カメラを切り替えながら慎重にドローンを進める。すると、何かを見つけた。 バンキシャ! 「ちょっと待って。ズームで寄る。檻だね」 見つけたのは、市が設置した捕獲用の檻。ハチミツなどが入っているが、中にクマの姿はない。赤外線カメラに切り替え、檻の周りを探す。 バンキシャ! 「ずっと現場近くの林道を追跡していますが、動いている動物、クマは見えませんね」 3日間取材したが、クマの姿をとらえることはできなかった。 *** この現場から約10km離れた場所でも過去にクマの被害が。2016年には4人が亡くなっている。 24日、この場所で取材をしていると、警察官に話しかけられた。 警察官 「この辺クマ出ますので、(車から)なるべく降りないように」 バンキシャ! 「外には出ないようにしているんですけど、やはりこの辺りは結構(クマが出る)?」 警察官 「何年か前に襲われて人が亡くなっているので、この辺も危ないですね」 車から降りずに警戒していると、突然。 バンキシャ! 「なんか黒いのいるよ。黒いの。うわクマだ! クマいた! 小熊かな、ツキノワグマが今走っていますね。走ってる走ってる。今ツキノワグマが、ちょうど今、急に出てきた。いま笹のところから急に出てきましたね。走っている、あ、立った!」 バンキシャ! 「1頭ですね。今のところ。草むらの中に入っていく。入っていったな」 その後、姿を消した。バンキシャ!はすぐに鹿角市へ通報。 バンキシャ!(電話) 「取材中にクマを目撃しまして」 鹿角市は、住民にメールで通知。バンキシャ!はその場を後にした。 *** 撮影したクマと、相次いで人を襲ったクマ、関連はあるのだろうか。 クマの生態に詳しい石川県立大学・大井 徹 特任教授 「車で30分程度でしたら平均的な行動圏の範囲に入りますので、その加害現場にいたクマがこの撮影現場に移動してきても不思議ではありません」 しかし、今回撮影したクマは… クマの生態に詳しい石川県立大学・大井 徹 特任教授 「体もさほど大きくない。体重にして40kg~50kgの間くらい。そういった大きさのクマが、人間を死に至らせるくらいの傷を与えることはできない。(加害現場のクマとは)違うと思います」 クマの出没は市街地でも。秋田市はクマの目撃情報が、5月だけで30件以上にのぼっている。 秋田駅からおよそ8km離れた住宅街では、この2週間で3回、クマが目撃されている(14日、20日、22日)。 バンキシャ! 「この左側が川辺に繋がる道なんですが、あそこに看板が掲げられています。『クマ出没立入禁止』の看板が立っていて前に進むことができません」 相次ぐクマの出没で中止になったというのが、来月予定されていた祭りだ。 町内会長 「(クマが)いつ出てくるかわからないということで。もう3回も出ているので、ついに(祭りを)中止をすると」 市街地に出没するのはどんなクマなのか。3日前にクマを目撃したという人は―― クマを目撃した人 「あちらになります。あの規制線」 バンキシャ! 「あー、あれですね」 クマを目撃した人 「規制線の右の方に大きい黒い塊、左の方に小さい黒い塊があって、あの規制線を上下させていた」 目撃された2頭は親子とみられている。 *** クマの目撃情報が今月だけで30件以上にのぼる秋田市。バンキシャ!は、クマが目撃されたエリアの4か所で撮影した。25m以内でものが動くと録画されるカメラ。確認すると… バンキシャ! 「再生します。これ何に反応しているんですかね。ぱっと見で何かが動いた感じはないですけれども、カメラが反応しているので…」 ――何に反応したのか? バンキシャ! 「こいつか、反応したのは」 バンキシャ! 「下に鳥います」 バンキシャ! 「下に鳥いる?」 バンキシャ! 「キジ?」 バンキシャ! 「ああこれね」 映っていたのは、キジのようだ。クマの姿を捉えることはできなかった。 秋田県によると4月、目撃されたクマは2023年に比べて、約2.5倍に増えたという(2024年4月…70件、2023年4月…27件)。いったい、ナゼなのか。専門家は気候が影響していると話す。 クマの生態に詳しい石川県立大学・大井 徹 特任教授 「暖冬ということが影響したのではないかと考えられます。冬の最低気温が1℃上がると、冬眠期間が6日短くなる」 これは、クマの冬眠期間である11月から5月の秋田の平年の最低気温。2024年を見てみると特に今年1月と2月は約2℃高く、暖冬だった。こうしたことから、クマが1週間から2週間早く目覚め、動き出したとみている。 *5月26日放送『真相報道バンキシャ!』より