銃弾が奪った父の笑顔、「会いたい」娘の涙 餃子の王将事件11年
「餃子(ギョーザ)の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東隆行(おおひがしたかゆき)さん(当時72)が射殺された事件から19日で11年となった。現場の京都市山科区の本社前には早朝から関係者らが訪れ、手を合わせて大東さんを悼んだ。 【写真】事件現場に花を供え、手を合わせる次女の真弓さん=2024年12月19日午前7時12分、京都市山科区、木子慎太郎撮影 花束を手向けた次女の真弓さん(53)は、「11年経っても気持ちは何も変わらない。毎日、お父さんの笑顔を鮮明に思い出す。『会いたい、帰ってきて』。それしかない」と涙を浮かべながら話した。 事件が起きたのは、2013年12月19日午前5時45分ごろ。出勤してきた大東さんが本社前の駐車場で車を降りた直後、腹や胸を拳銃で4発撃たれて殺害された。 この事件では、22年10月に特定危険指定暴力団・工藤会系組幹部の田中幸雄被告(58)が殺人と銃刀法違反の疑いで逮捕され、その後起訴された。公判の期日は未定だが、公判前整理手続きで、争点は「犯人性」と決まった。被告側は無罪を主張する方針。 一方、京都府警は指示役がいたとみて、真相解明に向けた捜査を続けている。 ■「なぜ命まで奪うのか」長男の願いは 大東さんの長男剛志さんは府警を通じ、「父の優しい笑顔、大きな笑い声が毎日のように突然脳裏に強くよみがえり、頭が真っ白になり、急に涙があふれたり、何も手につけられない状態に陥ります。『なぜ命まで奪う必要があったのか』、背後関係等事件の真相について、裁判や捜査で明らかにしてもらいたいと、強く強く望んでいます」とのコメントを出した。 王将フードサービスの渡辺直人社長も19日、コメントを発表。「事件から11年が経ちましたが、いまだに事件の真相解明と解決には至っておりません。当社といたしましては、一刻も早い事件の解決を願うとともに、前社長の遺志を受け継ぎ、社業に邁進(まいしん)してまいります。最後になりますが、亡き大東前社長のご冥福を心よりお祈りいたします」とした。(関ゆみん、木子慎太郎)
朝日新聞社