AT限定の普通免許で運転できる! ポップなカラーも最高! いすゞの「エルフmio」がトラック界に新風を吹き込む
いすゞから画期的なトラックが誕生
「運転免許を取る」といえば、一般的に普通免許であることが多い。とくに車両の運転を職業にしたいと考えていなければ、多くの人は普通免許があれば不自由しないのだ。加えて、免許を取得してから乗ると思われる自動車は、ほとんどかオートマチックトランスミッション(AT)である。免許取得の初期コストを考えれば、AT限定普通免許取得者の比率が上がるのは、当たり前のことなのだろう。さらに、近年は運転免許取得人口そのものも減少している。2024年問題でドライバー不足に陥っているトラック業界では、人材確保に頭を悩ますのも無理はない。 【画像】F1用V12エンジンを積んでいたいすゞのコモの画像を見る このようななか、いすゞ自動車が画期的なトラックを誕生させた。それがAT限定普通免許で運転可能な「エルフmio」だ。「エルフ」は、同社が製造、販売する小型、中型トラック。その歴史は旧く、初代は1959年に登場した。現行車は7代目で、2023年に発売されたばかりである。もともとバリエーションが広い車種で、6代目にはキャンピングカー専用シャシーの「Be-Cam」がある。7代目では同社初の「BEV(Battery Electric Vehicle、電気自動車)」が、ラインアップに加わった。 「エルフmio」はこの流れを汲んで開発されたトラックで、「ファーゴ」や「エルフ100」の後継車種ともいわれる。最大の特徴は、AT仕様かつ車両総重量が3.5トン未満なので、AT限定普通免許で運転できるというところだ。すなわち、ドライバーの確保が行いやすいトラックなのである。 単純に軽いトラックを作るのであれば、エンジンや車体を小さくすればすむ。しかし、小型トラックとして使用に耐えうる車両にするには、道路交通法上における普通自動車の枠に収めるのは非常に難しい。同社はこの問題を、小型トラックの利用状況を分析することで最適解を得たのだ。
燃費は13.6km/Lを実現!
小型トラックの多くは、エリア配送などの近距離輸送に使用される。走行場所は街なかなどで、高速道路を早い速度で走ることは少ない。そこで、オーバースペックにならないように、120馬力に抑えた1.9リッターターボエンジン「RZ4E」を採用。さらに、車体の軽量化を図ったのだ。 そのためにトレードオフとなった強度は、前後軸の重量配分をなるべく均等にすることで解決。これにより、車両総重量3.5tを切り、最大積載量1.35tを確保することに成功した。エンジンの小型化は燃費も改善し、13.6km/L(JC08モード)を実現するなど経済性にも優れているのだ。 安全装置としては、「誤発進抑制機能」、「車線逸脱警報」、「ふらつき警報」、「(直進時の)プリクラッシュブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)」、「車間距離警報」、「先行車発進お知らせ機能」などの先進安全機能を標準装備。オプションとしては、「ブラインドスポットモニター(ドライバーから見にくい位置の車両などを検知する装置)」や、「(右左折時の)プリクラッシュブレーキ」が用意されている。 キャブはシングルキャブ、スペースキャブ、ダブルキャブの3種。ボディラインアップは平ボディのほか、軽量アルミバン、電動ダンプが用意されており、さまざまな用途に対応が可能だ。また、カラーはペールブルー、アークホワイト、クイックシルバーメタリック、トランスブルー、ダークカーキメタリック、フリントグレーメタリックの6色である。 見た目がスタイリッシュだから、配送業務未経験の新人ドライバーでも親しみやすいトラックだ。彼らが将来ステップアップをして、準中型、中型自動車などに乗車するための入門車としても、活躍できるのではないかと期待されている。
トラック魂編集部