暗号資産を有用で公平なものに:ポリゴンラボ法務責任者
トークンを公平なものに
暗号資産の主な目標は、誰にとっても安全でアクセスしやすく、公平、透明なシステムを構築することだ。しかし、多くのトークンは「流通量が少なく、完全希薄化時価総額(FDV)が高い」というメカニズムや、内部関係者が一般の人々よりも不公平な優位性を持つなどの問題によって価値が損なわれてきた。個人投資家を内部関係者や機関投資家よりも不利に扱うことほど、新しいトークンの勢いを鈍らせるものはないだろう。 トークンが公平であるとはどういう意味だろうか。 最良の尺度となるのは「フロント・ページ・テスト」だ。つまり、プロジェクトが大成功し、舞台裏のすべてが大新聞の一面を飾ったとしたら、それを誇りに思えるだろうか。そうでない場合は、改善すべき点がある。 新しいトークンの最大の落とし穴の1つは、「分散化の演技」だ。つまり、トークン開発者が誰でも参加できるパーミッションレス、あるいはコミュニティ・ガバナンス型のプロジェクトを構築しているふりをして、実際には秘密裏にプロジェクトのコントロールを維持することだ。そして、不釣り合いな量のトークンを内部関係者(投資家だけでなく)に与えてしまう。 「分散化の演技」に関与することは、トークン保有者にとって不公平で、所有する資産の性質について誤解を与える可能性があるだけでなく、規制当局や裁判で詐欺と判断される可能性もある。プロジェクトのあらゆる側面について、誠実であることが最も重要だ。達成し得る最も重要な規制上の進展の1つは、プロジェクトとその関連トークンについての開示の業界標準であり、私たちはプロジェクトがコミュニティに対して徹底的に透明性を保つ方法を考えることを推奨している。 この業界における「事業を行うコスト」とは、規制当局が成功したプロジェクトに注目し、遅かれ早かれ質問してくることだ。創業者は、誠意を持って事業を構築し、正しいことを行うために懸命に努力することで、創業初日から来るべき会話に備えるべきだ。公平性と透明性に焦点を当てることは簡単ではないだろう。だが、長期的にはきわめて大きな成果をもたらす。 こうした考え方は、技術的および実用的な観点から業界全体に利益をもたらすだろう。しかし、これは業界が考える「規制コンプライアンス」を実現する鍵ではない。グローバルに包括的な規制が整うまでは、創業者は法律に違反しないよう弁護士を雇う必要があり、それを早い段階ほど望ましい。優秀な弁護士はトークン設計プロセスにおける優れた相談相手となり、将来、さらに時間と費用が必要となるようなミスを回避する手助けをしてくれる。 しかし、トークンを有用かつ公正なものにする観点からスタートすることは、業界が長期的な成功を収めることにつながる。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Shutterstock|原文:Making Crypto Tokens Useful and Fair
CoinDesk Japan 編集部