ドジャース対ロッキーズ　1回、打席に入る大谷は、スタンディングオベーションを受け、ヘルメットを上げて応える（撮影・菅敏）

＜ドジャース6－4ロッキーズ＞◇20日（日本時間21日）◇ドジャースタジアム 　【ロサンゼルス（米カリフォルニア州）20日（日本時間21日）＝斎藤庸裕、斎藤直樹】ドジャース大谷翔平投手（30）が「52－52」に到達した。 　ロッキーズ戦に「1番DH」で出場し、4打数3安打2打点で3連勝に貢献。優勝マジックを「5」とした。第3打席で52号逆転2ランを放つと、第4打席で一塁内野安打から初球スチールで二盗を決めた。前日に敵地フロリダ州マイアミで「50－50」を達成。翌日、本拠地でスタンディングオベーションの拍手喝采を受け、地元ファンから祝福された。 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　本拠地はお祝いムード一色だった。大谷が第1打席へ向かうと、徐々にファンの歓声が大きくなった。今季の全盗塁、全本塁打がスクリーン映像で流され「50－50」達成を祝福された。いつも通り相手監督にあいさつし、打席に入ったが、ロ軍の捕手グッドマンはあえて立ったまま。先発フリーランドもプレートを外していた。大谷は、スタンディングオベーションの中心でヘルメットをとって感謝。スタジアムを見渡し、特別な瞬間が数秒間続いた。 　「素晴らしかったですね。すごいうれしかったですし、感激しました。初めてのシーズンで、こういったことをやってもらえるだけで幸せだなと思いました」 　ベンチ前に一斉に出てきた同僚からは拍手を送られた。球団の計らい、相手チームからのリスペクト、地元ファンの温かい声援に全力パフォーマンスで応えた。5回の第3打席、フルカウントからの6球目、大きく高めに外れた速球を迷いなくフルスイング。悪球にバットの軌道を合わせ、最短距離でさばいた。スイングレングス6・6フィート（約201センチ）は今季52本の中で最短。すさまじい打球音を残し、中越えへ52号2ランをたたき込んだ。 　7回1死二塁の第4打席は一塁へのゴロで全力疾走。内野安打でチャンスを広げ、すかさず初球で二盗を決めた。ベッツの中飛とT・ヘルナンデスの内野安打で生還し、「細かいところがしっかりできてるのが、いい野球につながっている」と手応えを口にした。1本塁打1盗塁で「52－52」に到達。試合前、ロバーツ監督は「60－60を狙っているかもしれない。非現実的だと思うが、彼は何でも可能にできる」と笑った一方で、大谷は「意識したら伸びていかないものだと思うので、無心でしっかり自分の役割ができるように頑張りたい」と冷静だった。 　前日19日のマーリンズ戦でポストシーズン進出を決め、3連勝で地区優勝のマジックを「5」に減らした。「必ず地区首位で行くんだっていう気持ちはみんな持っていると思います。直接対決を控えてますけど、その前に明日、明後日とあるので、そこをしっかりと勝てるように頑張りたい」。最短Vは24日（日本時間25日）で、2位パドレスが相手となる。全員で味わう歓喜の瞬間は、着実に近づいている。 　◆スイングレングス　ボールを捉えるまでにバットスイングの軌道がどれだけの距離だったかを示す数値。一般的に安打を量産するコンタクトヒッターはスイングレングスが短く、長距離打者は長くなる傾向がある。今季、大谷が放った52本塁打の平均スイングレングスは7・9フィート（約241センチ）。MLBの平均は7・3フィート（約223センチ）とされている。