「野菜畑の土」が建築資材に 店舗内壁用に開発、高級感も
野菜畑の土を使った内装資材が誕生した。日干しれんがのように乾燥させて固めたもので、吸放湿性を持つ他、炭素を固定する役割も果たす。砕いて再利用できるなど、環境に配慮した資材だ。 東京都内の小売店「芋松」が、「店舗で販売する野菜の魅力が伝わる内装にしたい」と、建築家の木野内剛さんに資材の開発を依頼。野菜が栽培される神奈川県大磯町の畑の土を使って、資材を作った。 畑の土の他に、砂や野菜輸送時の緩衝材に使われたおがくずなどを混合して強度を確認した。 土に膠(にかわ)墨汁を混ぜることで、資材の濃淡に差異を付けた。それを組み合わせて店舗内の壁を覆うことで、地層を連想させることを狙った。壁の前に農産物を並べて販売する。 「芋松」の店主・伊藤芳光さんは「落ち着いた雰囲気で、高級感も出せている」と笑顔を見せる。 木野内さんは「土を建築資材に活用することは、荒廃農地の再生に向けた一つのアイデアになるのではないか」と話す。
日本農業新聞