鹿児島県警21人、本部長注意などの処分…強制性交事件の告訴状の写し受理しないなど適切な対応怠る
鹿児島県警は31日、詐欺事件や強制性交事件で、適切な対応を怠ったとして、警察職員21人を所属長訓戒や本部長注意などの処分とした。県警はいずれも公表基準には当たらないが、不祥事が相次ぎ、県民の関心が高いとして発表に踏み切ったとしている。 【写真】鹿児島県警の野川本部長
県警監察課によると、21人は当時、県警本部や鹿児島中央署、鹿児島南署に所属していた20~60歳代。詐欺事件では、県内の女性が2020年3月、鹿児島中央署に被害を相談して以降、被害女性への対応に丁寧さを欠き、容疑者(詐欺罪などで公判中)の逮捕までに3年以上かかるなどした。22年6月には、同じ容疑者による詐欺事件で、鹿児島南署に相談した別の女性の被害届を速やかに受理せず、正確性を欠く相談記録を作成したという。
また、新型コロナウイルス感染者の宿泊療養施設で、女性が性的暴行を受けたとして告訴した強制性交事件(書類送検後、不起訴)があり、22年1月に鹿児島中央署に告訴状を持参した女性に対し、告訴状の写しを受理せず、女性に返すなどしたという。
監督責任を問われ、当時の幹部ら16人も本部長注意などを受けた。牛垣誠首席監察官は「調査結果を踏まえ、厳正に処分した。信頼回復に向けて再発防止対策に着実に取り組む」とコメントした。
県警を巡っては、4月以降、内部文書を漏えいしたとして、前生活安全部長の本田尚志被告(61)が国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕されるなど、現職の警察官ら4人が相次いで逮捕されている。枕崎署の元巡査部長(依願退職)による盗撮事件では、本田被告が「本部長が隠蔽しようとした」と主張。野川明輝本部長は隠蔽を否定している。野川本部長は11月5日付で警察庁長官官房付とする人事が30日に発表された。