三菱UFJとドコモの新経済圏が始動へ マネックスと連携も視野
「金利がある世界になり利息による収益が上がり始めると、我々が持つ銀行口座などの基盤が生きてくる。業界で最も多い3400万口座、170兆円の預金、14兆円の住宅ローンが強みになる」。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の亀澤宏規社長は11月14日の記者会見でこう語った。 【関連画像】三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長はリテール事業の再構築を進める(写真=的野弘路) 三菱UFJFGはこの日、2024年4~9月期の連結決算を公表。純利益は1兆2581億円に達した。中間期では初めて1兆円を突破し、国内3メガバンクグループで2位につける三井住友FG(7252億円)との差を広げた。 欧米を中心にした金利上昇で利ざやを改善させつつ、M&A(合併・買収)を続けて海外事業を収益の柱に育てた三菱UFJFG。邦銀グループ首位の座は盤石だが、それでも亀澤氏は日本銀行による17年ぶりの金融政策正常化を受けた反転攻勢の決意を示した。利息収入が見込みづらいマイナス金利の環境では規模の大きさが重荷になっていた面は否めないが、今後は金利を追い風にしてリテール(個人向け金融)事業で巻き返す考えだ。 もちろん日銀の追加利上げは、三菱UFJFGだけを特に利するわけではない。3メガバンクグループは、政策金利(無担保コール翌日物金利)が0.25%程度に据え置かれる前提で、25年3月期決算の資金利益に与えるプラスの影響を試算。みずほFGが850億円と最も大きく見積もり、三菱UFJFGと三井住友FGはそれぞれ700億円前後だった。 米国経済の情勢を重視する日銀は、トランプ新政権の具体的な政策を見極める構えだ。それでも、政策金利については「26年までに2.0%に近づけることを考えている」(日銀出身の東京大学大学院・渡辺努教授)と見られる。実現までのペース配分を考えると、25年中に少なくとも1.0%まで引き上げる必要がある。 三菱UFJFGとしては、そのタイミングに合わせて「リテールビジネスを強化する決定的なラストピースが欲しい」(三菱UFJ銀行役員)ところ。ただしデジタル社会では、過去の「金利のある世界」と同じ戦略は通用しない。