67年ぶり「地車」 例祭に向け組み立て、和歌山県白浜町の三須和神社
和歌山県白浜町安居の三須和神社で11月3日に営まれる例祭に向け、地元の安居青年団が神社の倉庫に保管していた地車(だんじり)を67年ぶりに組み立てた。二株輝王団長(44)は「今年は展示のみになるが、来年の祭りでは少しの距離でも引きたい」と話している。神社横の駐車場で4日まで展示している。 【世界遺産を川舟で 熊野古道「安居の渡し」復活、和歌山の記事はこちら】 地車は全長約4・2メートル、幅約1・8メートル、高さ約3・9メートル。車輪を含め木製。 この祭りに詳しい大谷登さん(82)によると、地車は1958(昭和33)年8月に安居地区を襲った水害以来途絶えており、倉庫でずっと眠っていた。水害では、日置川が氾濫し、多くの家屋が床上浸水したという。 大谷さんの子どもの頃の記憶では、笛と太鼓を演奏する氏子を乗せた地車を、子どもを含めた地域住民が2本の綱で引いていた。宵宮と本宮の2回登場し、引く時に歌う歌もあった。「夜に引いていた。道沿いの家の壁によくぶつけていた」と語った。 子どもの頃から倉庫に地車があることを知っていた団員の花尻貴之さん(42)が「寂しくなった地域を少しでも盛り上げたい」と復活を団員に提案したところ、快諾を得た。 団員たちが10月27日に倉庫から出し、大谷さんのアドバイスを受けながら組み立て、ちょうちんやササ、鈴などの飾りを付けて30日に完成させた。足りない材料は団員の佐本明彦さん(52)が提供した。 二株団長は「傷んでいるところもあるので、今後修理していき、来年から少しずつ動かしていきたい。最終的には昔のように日置川の河原まで引いていきたい」と話した。 大谷さんは「復活させたいとは思っていたが、人手が足りずできないと諦めていた。若い人たちがやってくれてうれしい」と喜んでいた。
紀伊民報