ロシア軍が駐機中のMiG-29戦闘機をまた破壊か 偵察ドローンと弾道ミサイルの連携で
旧ソ連製の作戦機は外国からもう調達できそうにない
ロシア軍は2023年秋以来、今回のものを含め、ウクライナ軍の航空基地に対する攻撃で、少なくともSu-27を2機、MiG-29を4機、Su-25を1機撃破している。もしかするとMi-24も1機撃破されたのかもしれない。運用している作戦機が100機足らず、攻撃ヘリが50機かそこらのウクライナ軍にとっては大変な損失率だ。 イスカンデルによる攻撃は、ロシア軍によるウクライナに対する「継続的で密度の高い監視」(英王立防衛安全保障研究所=RUSI=のアナリスト、ジャック・ワトリング)によって可能になっている。ロシア側はこうした監視によって目標を探知し、その座標をミサイル部隊側に送っている。 ウクライナは西側諸国から多数の防空システムを取得しているにもかかわらず、依然として自国の領空を完全には防御できていない。あらためて露わになったように、航空基地やそこに置かれている軍用機もミサイル攻撃から守りきれていない。 戦争で疲弊した戦闘機旅団向けの機体の調達に苦労しているウクライナ空軍にとって、これはゆゆしい状況だ。現実的にみて、旧ソ連製のMiG-29やSu-25を容易に入手できそうな供給元はもう存在しない。ウクライナの最も緊密な支援諸国は、渡せるMiG-29とSu-25はすべてウクライナに渡している。Su-27も主な支援国で保有している国はない。 ウクライナがミグやスホーイを新たに得るには、1991年のソ連崩壊後に国内に残された多数の古い機体の在庫から、みずから探し出して整備するしかないだろう。数十年眠っていた可能性もあるこれらの機体から、どれくらいの数を回収して復元できるのかは、未解決にして喫緊の課題だ。 ウクライナは欧州諸国から計85機供与されることになっているF-16戦闘機を少しずつ受け取り始めているほか、来年初め以降、フランスからミラージュ2000戦闘機十数機も順次届く予定になっている。これらおよそ100機の戦闘機は最終的に、再建されたウクライナ空軍の中核になるとみられるが、すべての戦闘機が到着するには1年以上かかる可能性がある。 いずれにせよ、ウクライナが防空を大きく改善できない限り、新たに到着する戦闘機も、ロシアのミサイルで破壊され続けているミグやスホーイと同じように脆弱な状態に置かれるだろう。
David Axe