「ある場面で裸になった瞬間、“あれ、これって絶対おかしいな”って」磯村勇斗らが“女性が働く環境の改善”を考える『ウーマン・イン・モーション』レポート
時には日本よりも働き方改革が進む海外の影響を受けることも必要なのかもしれません。菊地さんは「日本と海外が大きく違うとは思いませんが、海外の場合は働いている方の数が多いです。また現場にはいろいろな国々の方やバックグラウンドが異なる方がいらっしゃるので、そういう意味では、違う風景が絶対に見ることができるんですよね」と語っていました。 撮影中でも週末に休みを取ることが海外では当たり前だったりするそう。つまりそれだけ撮影期間が延び、制作費がかさむわけでもありますが、管理する立場にある岡野さんは「実は働き方の改善にも投資することが、現場をもっとクリエイティブにすると思っています」と断言していたのも印象的でした。
自分はそう思わなくても、俳優さんは思うかもしれない
最近、耳にすることが多くなった「インティマシー・コーディネーター」の存在も話題に上りました。インティマシー・コーディネーターは言わば、働きやすい環境を整える撮影現場のサポート役です。たとえば親密なシーンでは監督と俳優の間に入り、互いの意見を聞いた上でストレスのない現場を作る役割を担います。 岡野さんはNetflixのプロデューサーの立場になって以降、担当する全ての作品でインティマシー・コーディネーターを導入しているそうです。「私がインティマシー(親密さ)と思っていなくても、俳優さんはそう思うかもしれません。なので、台本を読んでもらってアドバイスを頂き、監督と俳優さんと話す場を必ず設けています」。 実際のところ、こうしたサポートを受ける場合、俳優はどのように感じているのかも気になるところ。菊池さんは「それはもう絶対に、インティマシー・コーディネーターがいてくださる方が演じやすいです」と、きっぱり。「たとえ役であっても、演じるのは自分自身であって、相手を守るためにもなり、クルーを守るためにもなります。 “大丈夫ですか?”って聞いてくださると、なんて言うか、心が軽くなる。根性で行けます! というわけでは決してないですから。とてもデリケートなことをきちんとデリケートなこととして扱うことそのものが大事だと思います」。
長谷川 朋子