地震発生時の負傷者30%以上が「家具転倒」が原因 家具固定“効いた”状態にするための正しい方法とは?
賃貸の味方ポール式「突っ張り棒」の実力
賃貸などで壁に傷をつけられない人にとっては、天井と家具の間で踏ん張る「ポール式」の転倒防止器具が一般的だろう。 ポールは「L字金具とビス」ほどの効果はないが、有効な家具固定の方法と言える。ただし、ポール式も間違った使い方では効果を発揮してくれないので注意が必要だ。 天井も壁と同様に、梁や躯体があって丈夫なところと、ボード類が吊られているだけで強度が不十分なところがある。強度が不十分なところにポールを設置しても、家具は十分に固定されず、地震のときにはポールが天井を突き破るだけになってしまう。 それどころか、弱い天井にポールを当ててどんどん突っ張っていくと、天井が持ち上がってしまうことがある。間違ったポールの使い方をすると、地震が起きてもいないのに家を壊してしまうかもしれない。 「L字金具とビス」と同様に、ポールが家具の弱いところを押さえていては意味がない。家具側もポールを骨組みに当てる必要がある。 ちなみに、ポール式の家具固定は天井と家具が近いほど効果的だ。家具の背が低い場合や、天井が高い場合には十分な効果が得られないかもしれない。
より“強力”な固定へ
ビスもポールも、目に見えていない壁・天井・家具の裏側の構造を知った上で使う必要がある。裏側の構造は叩いたときの音からもある程度判断できるが、最近は「下地センサー」という柱を探す装置が2000円前後で売られているため、活用してみるのも良いだろう。あるいは、多少お金はかかるが専門業者に固定を依頼するのが安心かもしれない。 他にも、転倒防止グッズとして、ストッパーや粘着マットも売られているが、これらを単独で用いても、大地震に耐えられるような固定効果は期待できない。ただし、これらをポールと併用すると、「L字金具とビス」に近い効果を得られるため、是非組み合わせて使用してほしい。 ところで、意外と忘れがちなのが家具の上下の緊結である。上下に分割できる家具は、上下をしっかり繋いでおかないと、ばらばらになって倒れてしまうことがある。家具が分割式であれば、十分な強度が得られる方法でしっかりと繋いでから固定するようにしよう。