バリュエーションの調整は必要だがインドの成長シナリオに変化なし=UTI(インド)の株式運用ヘッドに聞く
2024年のインド株市場はどうなるのだろうか? 2023年は中国株市場が低迷する中、インドの株式は2ケタ成長を記録した。2023年11月末現在で、過去1年間のトータルリターン(配当込み、円ベース)は、全世界株式(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)が21.38%に対し、新興国株式(MSCIエマージング・マーケッツ)は12.61%で、これは、中国(MSCI中国)が3.54%と不振だったことが響き、インド(MSCIインド)は13.36%を新興国市場のけん引役の1つだった。このインド市場の好調は2024年も続くものなのか、インドで最も長い運用経験を持つUTIアセットマネジメントのヘッド・オブ・エクイティで、「SBI・UTIインドファンド」の運用責任者でもあるアジェイ・ティアギ氏(写真)に聞いた(このインタビューは2023年12月に実施した)。
――「SBI・UTIインドファンド」は好調なパフォーマンスを続けていますが、2023年の年初から運用にプラスに寄与した代表的な銘柄やセクター、それらの株価が上がった理由を教えてください。反対に、運用にマイナスの影響を与えた銘柄やセクターを教えてください。
2023年を振り返ると、ITサービスとヘルスケアの分野への投資がプラスに寄与し、消費サービスとインフラ投資関連がマイナスに働きました。インフラ投資関連は、株価は上がったのですが、当ファンドではそれらの銘柄を保有していなかったので、ベンチマークとの対比でマイナスに寄与することになりました。
ITサービスの分野については、グローバルで人工知能などの分野が大きく成長した流れを反映した動きといえます。インドのITサービス産業は、米国のようなイノベーティブなことを仕掛けていくようなところではなく、確立された技術等を実践に役立つ形で広く普及させるという分野に力があります。
ヘルスケア分野は、国内で医療関係の支出が伸びています。また、いわゆる「チャイナ・プラスワン」で製薬会社が中国製造拠点を中国以外に移そうという動きによって、インドにも拠点を設けるなど恩恵を受けています。