テレグラムは「暗号資産普及マシン」──暗号資産トンコインは時価総額トップ10に
暗号資産ネイティブの視点から
テレグラムはかなり前に暗号資産における地位を確立した。暗号資産ネイティブの間では、連絡を取り合ったり、アイデアを共有することに使われる人気プラットフォームであり、通常、新しい暗号資産プロジェクトがXアカウントとともに最初に立ち上げるソーシャルメディアチャンネルだ。 さらに最近では、オンチェーントレーダーにとってそれ以上の存在となっている。新世代のテレグラム取引ボットが暗号資産のUXを一変させ、おそらくオンチェーン取引も一変させた。売買、指値注文の設定、新プロジェクトのリサーチ、新しくローンチしたトークンの素早い購入、「スマートマネー」のコピー取引など、すべてが1つのコマンドで簡単にできるようになった。 オンチェーン取引で最もイライラさせられるUXの問題から解放してくれるテレグラムボットを使うことは、新鮮な体験だった。暗号資産プロダクトで「これは素晴らしい」と感じたのは非常に稀なことだ。しかし、アルトコイン取引の競争を激化させ、私が考える「アルトコインの蔓延」に拍車をかけたのも事実だ。 これはアルトコインの取引/投資が終わってしまったことを意味するのだろうか? そうではない。現在の新規参入者がスマートコントラクトとやり取りする簡単さは、私が始めた頃と比べれば、隔世の感がある。このことは、流通やますます便利になっていくアプリと相まって、今後数年間で暗号資産に新たな資金が流れ込むことを意味する。
エキサイティングだが、やるべきことは残っている
UXの向上は、誇張してもし過ぎることはない。というのも私自身、TONウォレットを使って、非暗号資産ネイティブの友人をこの世界に招き入れたことがあるからだ。テレグラムに現在のインフラが導入される前は、友人に暗号資産の使い方を教えようと考えるだけで小さなため息が出た。今はテレグラムのおかげで、これ以上簡単なことはないと思うほどだ。 つまり、テレグラムとTONブロックチェーンの勝利ということだろうか? そうとも言えない。UXと流通の改善は大きな飛躍だが、消費者向けのアプリの幅広いラインナップはまだ見られない。Mini Appでの開発は進み、例えば、ゲーム開発者にとっては、巨大なユーザーベースから注目を集める、楽しいテレグラム対応ゲームを作るという大きなインセンティブがある。 しかし、現在存在するものは、実用性よりもミームベースだ。規制も懸念事項として残っているが、これはテレグラムやTONに限ったことではなく、業界全体で進行中の問題だ。 テレグラムとTONブロックチェーンにはやるべきことがたくさんあるが、私は彼らはやり遂げると信じている。市場はこれをすでに価格に織り込み済みのようで、暗号資産トンコイン(TON)はすでに時価総額で暗号資産トップ10にランクインしている。トンコインの躍進は、我々がよく知る熱狂的な投機によるところが大きいが、その成長の多くを裏付ける本当のファンダメンタルズがある。 我々の多くは、暗号資産がマスアダプションする未来を望んでいる。この思いは、テレグラムの共同創業者兼CEOのパヴェル・ドゥロフ(Pavel Durov)氏も同じで、同氏はビットコイン支持者だ。 TONブロックチェーンのミッションステートメントは、「すべてのポケットに暗号資産を入れる」こと。簡単に言えば、テレグラムは、成長中のこの業界のどの企業よりも、それを実現するのに有利なポジションにある。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Christian Wiediger/Unsplash|原文:Telegram Is Crypto’s Adoption Machine
CoinDesk Japan 編集部