高速列車や水素車両、写真でわかる「国際鉄道見本市」の最前線 「イノトランス2024」注目の展示車を一挙紹介!
■スイス・シュタドラーは8車種を展示 毎回、イノトランスに多くの車種を持ち込むスイスのシュタドラーは、今回も8車種を用意。面白いのは「RS ZERO」と呼ばれる1両のバッテリー車両で、パンタグラフを介して取り入れる架線からの電力で充電するシンプルな構成だが、ソファのようなラウンジシートや、窓側に設けられたデスクに向かって座るビジネススペースなど、インテリアにも工夫が凝らされている点が興味深かった。
ポーランドのネヴァグは、高速旅客用電気機関車「グリフィン200km/h」を展示。ヨーロッパの電気機関車市場は、シーメンスのヴェクトロンとアルストムのTRAXX3がほぼ独占している形だが、まずは地元ポーランド鉄道へ導入が決まった。他国でも採用されるかが注目される。 身売りで揺れているスペインのタルゴは、ドイツの新型旅客列車ICE-Lの牽引用として使用する予定の電気機関車がようやく姿を現した。機関車の製造がかなり遅れていたが、先に完成して試運転を行っている客車も認可取得が難航し、すでに納期が1年以上遅れることが発表されている。無事に納入されるのか、別の意味で注目される。
世界が本格的にコロナ禍を脱してから初の開催となる今回のイノトランス。2022年と比較すれば高速列車からトラムまで、全体的にはかなりバラエティに富んだ展示内容になったと言えるだろう。
橋爪 智之 :欧州鉄道フォトライター