県営住宅に学生の入居を 周辺住民との交流を深め地域活性化と空き部屋解消に 愛知県と同朋大が県内初の協定
愛知県は、高齢化が進み増加し続けている県営住宅の空き部屋を大学生に貸し出すことで地域活性化につなげる取り組みを始めています。8月22日に同朋大と県内初の「在学生の愛知県県営住宅への入居及び地域コミュニティの活性化に係る協力に関する協定」を締結しました。貸し出しの条件は清掃や草むしりなどの自治会活動への参加で、地域住民の交流を活発にするとともに空き部屋の解消にもつなげたい考えです。 この協定は名古屋市中村区向島町にある向島住宅が対象で、最寄りの地下鉄東山線の岩塚駅から向島住宅、住宅から同朋大はそれぞれが徒歩約10分圏内の近距離にあります。大学から自治会活動に取り組む意欲があるとして県に推薦された学生は月2万円前後の家賃で入居できます。
向島住宅は1971年に建設され、全336戸のうち、現在50戸ほどが空室となっています。高齢化も進んでおり、契約者の6割以上が65歳以上です。 同朋大は社会福祉学部を設けており、社会福祉を学んだ学生の多くは卒業後、地元に残って福祉に関連した仕事に就く場合が多いといいます。大学関係者は「学生のうちから地域コミュニティに関わることで、社会福祉の実践的な学びの場になれば」と、取り組みを歓迎しています。 同朋大では、愛知県と本協定を結ぶ以前の2022年3月にも、名古屋市と市営住宅への学生入居に関する協定を締結しており、中川区大地地内にある市営万場荘の9戸に10人が現在居住している。定期的に市営住宅に住む自治会員と清掃などのボランティア活動を行うなかで、入居学生は「年齢層の違う人たちとの交流を通じて、公共住宅の空室率の高さ、住人の高齢化などを身近な問題としてとらえるようになった」と話しています。
県営住宅への学生の入居について、同朋大は今後、オープンキャンパス時に新入生へ通知するほか、在学生には関連のポスターを掲示するなどして学内に周知を進めていきます。来年4月から、実際に住宅へ入居するなど取り組みを本格的に稼働させるということです。 愛知県は昨年から県内の52大学に呼びかけアンケート調査を実施するも、前例のない取り組みである、今回の取り組みに関連した実績がないなどの理由から、協定の締結に至ったのは今回の同朋大の事例が初。今後は協定を他大学にも広げていきたい方針です。