減らぬ飲酒運転…4割にアルコール依存症疑い 立ち直りへ支援急務 八街事故3年㊤
千葉県八街市で起きた飲酒運転のトラックによる児童5人死傷事故から28日で丸3年を迎える。飲酒運転を許さない社会の風潮は強まるが、酒を飲んだままハンドルを握るドライバーは後を絶たない。検挙されたドライバーの中には、アルコール依存症の疑いがあると指摘されたケースも少なくないようだ。飲酒運転の根絶には、依存症から抜け出すための支援が欠かせない。 【表でみる】飲酒運転による交通事故件数の推移 ■完全治癒できない 「酒を飲みすぎて家に帰れず、人の車も蹴飛ばして、もめた。職場や家族に迷惑をかけ続けた。そんな自分を変えたい」 今月13日、千葉市花見川区の幕張公民館で行われた「県断酒連合会」の例会。アルコール依存症の患者が自身の酒にまつわる失敗談を赤裸々に打ち明けた。 同会には酒を断ち切りたいと願う約190人が所属する。自らの経験を包み隠さず話し、その場に患者を支える家族も参加することで、断酒する仲間という意識が芽生える。 「依存症から立ち直るのにはまず仲間が必要だ。孤独にさせない。患者さんには新しい人生を生き、誇りを取り戻してもらいたい」 同会の塩川裕昭理事長は断酒活動の意義をこう語る。かつて、自身も大学時代から酒におぼれ、依存症と診断を受けた。飲酒運転の過ちを犯したこともあったという。その後、同会に参加することで酒を断ち切った。 「アルコール依存症は完全治癒ができない病気だ。飲酒運転による悲惨な事故につながることも多い。事故を起こそうとは思ってはいなくても、身体にずっと酒が残っている状況だ」(塩川理事長) ■まず「減酒」挑戦も 県警によると、昨年1年間に県内で飲酒運転で人にけがをさせた事故は116件もあった。このうち6件で犠牲者が出た。 塩川理事長は「飲酒運転で検挙された人の約4割には依存症の疑いがあるとされる。断酒会なり、依存から抜け出すため、専門の治療機関とつながりやすい仕組みを作ることで事故を減らしたい」と語る。 断酒するのはハードルが高いと感じる場合には、まずは「減酒」が飲酒運転を減らすのに効果的だと指摘する専門家もいる。