刑務所ライブ500回超。“受刑者のアイドル”仕掛け人の信念「車と家を売って資金を捻出」
母親から「少しくらいは褒めてもらえるかも」
インタビューの最後、片山氏は確かに言った。 「もしあの世があったら、これまでさんざん迷惑を掛けてしまった母親からも少しくらいは褒めてもらえるかもしれませんね。しばらくは自分に与えられた仕事を全うして、天国に行くとき、逢えたらいいな」 どんなに注意深く生きても、人はしばしば間違える。だからこそ回復を手伝う誰かの手が必要になる。社会の日陰を這いずり回ってなお片山氏が絶望しきらなかったのは、周囲への感謝を手放さなかったからだろう。 “受刑者のアイドル”――センセーショナルでありながら地道で実直なその仕掛けは、氏なりの社会への壮大な恩返しなのかもしれない。 <取材・文/黒島暁生> 【黒島暁生】 ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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