愛媛の海の宝石箱 食べにいきたい海鮮丼
宇和海、伊予灘、燧灘。美しく豊かな海に囲まれた愛媛は当然、魚がうまい!そんな海の幸を一度に味わえる海鮮丼は、最上級のぜいたくといえる。黄金色に輝くあの高級食材をふんだんに使った丼から、愛媛の新名物を狙う独創的な丼まで、指名して食べにいきたい味を集めた。(デジタル報道部) ■コスパ良し!鮮魚店が営む食堂の王道海鮮丼 「魚河岸ごはん」(今治市中寺261-1) 今治市の国道196号線沿いにある食堂「魚河岸ごはん」。約100席を備える広い店内は、平日でも昼時になると多くの客でどんどん埋まっていく。注文はセルフサービス式で、だし巻き、肉じゃがなどのおかずがずらりと並ぶ。 中でも目を引くのは刺し身の種類の多さだ。マグロにタイ、地物のつぼ貝、珍しいものでは「ノークリ」(サメの一種)も。常時10種類以上は置いてあるそうだ。それもそのはず、経営母体は鮮魚の小売りや卸に従事する「矢野鮮魚」。地元の鮮魚店が営む食堂なのだ。 港町・今治の地元客に愛される食堂の目玉メニューがボリューム満点の海鮮丼(1210円)だ。丼物はセルフではなくオーダー式で、待つことしばし。登場したどんぶりの大きさにまず驚かされた。注文口ではご飯半量の「ミニ」(748円)を頼んでいた人も多かったが、理由に得心がいった。 丼を彩るネタは、ハマチ、タイ、カンパチ、サーモン、マグロ、イカ、甘エビ、ホタテ、そしてイクラ。分厚い刺し身が2切れずつ、9種類もある。みそ汁と漬物も付いていて、今どきかなりコスパがいいと感じる。 店長の矢野弘文さん(53)は「本社が鮮魚店なので値段を抑えて仕入れができる。セルフ食堂形式なのも特長で、そのため新鮮な魚をリーズナブルな値段で提供できます」と説明する。 もちろん味にも妥協なし。愛媛県内で養殖が盛んなハマチやカンパチは、その日の朝締めたばかりの鮮魚を市場から直送している。 丼にはウズラ卵とゴマの入った手作りのたれが添えられている。そのたれを箸でかき混ぜ、とろりとかけていただく。歯ごたえがあってほんのり甘いタイ、ねっとりと脂の乗ったハマチ。一つ一つ食べ応えのあるネタにまろやかなたれが絡む。 箸を進めると顔を出す刻みノリや、大葉の香りの良さもアクセント。海鮮丼の醍醐味(だいごみ)ともいえる「豪華メンバー大集合」のぜいたくさを最後の一口まで存分に楽しめた。 サイドメニューには今治の郷土料理「せんざんき」や焼豚玉子飯もあり、県外からの客も多い。「これからも変わらず、お客さんに愛される店作りを目指したいと思います」と矢野店長。「おいしい魚が食べたい!」と思い立ったら気取らず構えず立ち寄れる、気さくな雰囲気がありがたい。 営業時間は午前10時~午後3時、木曜定休。電話0898(35)0350 。
愛媛新聞社