「半導体は国家なり」 北の大地の挑戦、見据えた「次世代と世界」
新千歳空港(北海道千歳市)の滑走路の向こうに浮かび上がる巨大な建造物。次世代半導体の量産化を目指すラピダス(本社・東京)が巨費を投じて建設している新工場だ。 【写真】建設が進む半導体製造ラピダスの工場 小池淳義社長は呼び掛けに応じた個人株主を「侍」と呼んだ。煙突を備えた従来の工場と一線を画す近未来的な姿は、その「城」ともいえようか。来春の試作ライン稼働、27年の量産開始を目指し、建設が進む。 日本の半導体は、かつて世界シェアの半分を占めたが、いまでは1割弱。同社の東哲郎会長は地元説明会で、「鉄は国家なりという言葉は、最近では半導体は国家なりです」と訴えた。ソニーやトヨタなど8社が73億円を出資し、政府も9200億円を投じるなど、国を挙げたプロジェクトとして期待されている。 約1世紀前、村民がならした1本の滑走路から外へつながった北の大地で、次世代を、世界を見据えた挑戦が始まっている。(角野貴之)
朝日新聞社