集票目当て?“密室”で決まった「酒の安売り規制法」 山本太郎氏のみ反対
減る一方の街の酒屋さん 「40万人署名」が結実
一方、40万人以上の署名を集めた「健全な飲酒環境の整備に関する請願」を今回の改正法によって結実させた全国小売酒販組合中央会・全国小売酒販政治連盟の松田武会長は、法案成立後に次のような内容のコメントを出した。 「請願採択とこのたびの議員立法が両輪を成し、街の酒屋が再び、商店街、町内会、自治会などを通じ地域のためにしっかり働き、支え、守っていくこと――それが与えられた使命であり責任であると考えております」 続けて「今後は法改正の肝である『公正な取引の基準』の策定が行われます。基準が真の国民の利益となるよう尽力してまいります」とし、新たな「基準」への期待感をにじませる。 1998年以降の酒類販売に関する相次ぐ規制緩和によってビールを中心とした安売り競争が激化し、国税庁の統計によると、街の酒屋さん(一般酒販店)の2012年度の件数は約5万5000件と緩和以前の半数以下になっている。 ただ、地域における存在感は各会派とも重視しているとみえ、参院の委員会で賛成討論を行った民進党議員はこう訴えた。 「街の酒屋さんは単にお酒を売るだけでなく、地域に根差して人々と顔が見える関係を築くとともに、地域の公益的活動に積極参加するなど重要な役割を担っています。(中略)これからの超高齢化社会において地域社会に必要不可欠なものです」「この法案は酒販制度を改善し、健全で適切な飲酒環境の整備に資するものであり、その結果、地域社会の再生にも役立つ法案であると考えます」 なお、今回の酒の安売り規制法に衆参を通じてただ一人、反対票を投じた「左党」の味方ともいえる山本太郎氏にコメントを求めたものの、「参院選の活動が超多忙」(事務所)との理由から回答は得られなかった。 (フリー記者・本間誠也)