せっかく買ったのだから。もったいないから。…不幸になりやすい人・損しがちな人の思考パターン【経済評論家が助言】
つまらない本をガマンして読む。食べ放題で苦しくなるまで食べる。値下がりした株を塩漬けにしてしまう…。このような行動をとる人には共通の思考パターンがあり、それが幸せを遠ざけているといえます。経済評論家の塚崎公義氏が身近な事例からわかりやすく解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
せっかく買った本だが、つまらない…あなたならどうする?
タイトルを見て本を買い、読み始めたらつまらなかった、という経験は多くの人が持っているでしょう。そんなとき「本を買った代金がもったいないから、最後まで読もう」と考えて読んだ人も多いと思います。その結果、どうなりましたか? 本の代金と読んだ時間、両方損しましたね(笑)。 本の最初がつまらなくても、途中から面白くなるかもしれませんが、その可能性はあまり高くないでしょう。その可能性に賭けて読み続けることは賢い選択といいがたいのですが、それより問題なのは「〈買った代金がもったいない〉という考え方」のほうです。 本を最後まで読んでも、買った代金は戻ってきません。読んでも読まなくても戻ってこないのなら、読むか否かを考える際に買った代金のことを考慮に入れる必要はないはずです。もらった本であろうと高額の本であろうと、「読んで自分が幸せになれるか否か」だけを判断基準とすればいいのです。
「もったいないから取っておく」のはナンセンス
このように、払ってしまい戻らないお金のことを「サンクコスト」と呼びます。サンキューのサンクではなく、「沈んでしまった」という意味の英単語です。サンクコストはどうせ戻ってこないのですから、今後の行動を決める際には考慮すべきではなく、「なにが自分を幸せにするか」だけを考えるべきなのです。 読むと時間を損するので読まないが、捨てるのももったいないから本棚に置いておく、という人も多いでしょうが、よほど広い家に住んでいるのでない限り、その本を捨てて広々と暮らすほうが「買ったけれども読んでいない本、着ていない洋服に囲まれて狭苦しく暮らす」より幸せになれると思いますよ。 入場料を支払って食べ放題の店に入ったら、払った代金のことは忘れましょう。「元をとらなければ」と考えて、おなか一杯なのに必死で食べ続ける人がいますが、満腹になったら食べるのをやめましょう。さらにいえば、料理が口に合わなかったら食べずに店を出ることだって選択肢です。家に帰ってお茶漬けを食べたほうが、幸せになれるかもしれませんから…。