ブラックマヨネーズ、殺伐とした20年前経て思う「賞レースの大切さ」
■ あの頃は、何も知らんから出来ていた(吉田)
数々のお笑い賞レースを席巻してきた漫才師・ブラックマヨネーズ(小杉竜一、吉田敬)。そんな2人が今年、『ytv漫才新人賞決定戦』『漫才Lovers』(ともに読売テレビ)と、関西制作の2つのお笑い番組で新MCを務めることが発表された。 【写真】今後注目! 『ytv漫才新人賞決定戦』で決勝進出を決めている若手芸人 2005年、M-1王者となったのをきっかけに全国ブレイクを果たした2人は、今回の抜擢に何を思うのか──。賞レースに捧げてきた当時のエピソードなども合わせて、小杉と吉田に話を訊いた。(取材・文/田辺ユウキ) ◇ ──東野幸治さん、千鳥さんからバトンを引き継ぎ、『ytv漫才新人賞決定戦』では3代目総合司会をつとめますが、進行するにあたって心構えなどはありますか。 小杉:若手芸人が人生を賭けてやるんで、いらん一言とかで邪魔にならないようにしたいなっていうのがありますね。僕らが賞レースに出ていたときも、「そんなこと言わんとってくれや!」ってことが結構あったんです(笑)。主役はあくまで若手なんで。 吉田:「今のは司会のあんたがおもろいって思われただけやんけ!」みたいな、そういうことがないようにしたいですね。目先の笑いを欲しがらんように気ぃつけんと。 ──ブラックマヨネーズが賞レースに挑んでいたのは、約20年前。当時のメンタルはどんな感じでしたか。 吉田:賞レース当日は、寝不足は確定でしたね。徹夜明けのモヤっとした状態で会場へ行くんです。そしてまず思うのが「ほかのやつらはちゃんと来てんのかい」って。何かトラブルとか起きてへんか、と。できれば不戦勝が一番良いですから。 小杉:ワハハハハ!(笑) たしかに賞レースの日は普段とはあまりにも空気が違うし、それに飲み込まれへんように心に折り合いをつけなあかんかったよな。そんななか普通にネタをして、ヒリついてましたね。あのときは生活のほとんどを賞レースに捧げていましたし、『M-1』を獲ったときは「やり切った!」という気持ちになりましたね。 吉田:そんだけ頑張ってやってきたのに、コンクール当日に限って変なことが起きるんですよ。会場に向かう途中の電車内でデカい声のおっさんに「何や、お前!」って絡まれたり。会場に着いたら着いたで、相方の状態も気になるし。今まで「ヤバいな」って思ったことはないですけど。 小杉:僕らはほぼ毎日会ってたんで、日々相手の感じは分かるんです。それでも当日ばかりはどうなるか分からへんし・・・。あとは、そういう賞レースが決まったら周りの人に「あれはこうした方がいい!」とか無責任なアドバイスを大量にもらうから、聞き流すのに必死でしたね(笑)。 ──そこまでがっちり2人で組み合って芸に取り組んでいらっしゃったんですね。逆に今は小杉さんが東京、吉田さんは大阪が拠点ということで、コンビの距離感的にほど良い感じなんじゃないですか。 小杉:そうかもしれないですね。あのときはめちゃくちゃ話し合ったりして、最近もこれからのコンビについて話し合いましたし。お互いそういう軸になる部分はちゃんと話してきたから、会わない時間が多くても普通にやりとりできますね。 吉田:でも、「同じことをまたやれ」と言われてももうできないし、やらないですね。それだけやってもコンクールに勝たんと評価してもらえない世界ですし、あのときは何も知らんからできていました。