「北朝鮮へ逃げようかしら」...反戦派ジャーナリストがロシアから逃亡する「極秘計画」の驚くべき詳細
国境を非合法に超える「極秘計画」
「うーん、イランもあるわ」中東の地図を眺めてアリーナが笑いながら続けた。子供を連れて逃げるのは本当の冒険だった。しかし他の解決策はなかった。 「友人の助けが必要ね」わたしが言った。クリスティーナはザフヴァトフ弁護士に電話した。 わたしたちを助け出そうと、ザフヴァトフ弁護士は逃亡計画を極秘に立てはじめた。わたしたちは、自分たちの運命が決まるというのに、まったく蚊帳の外だった。 「リュックサックだけ持っていくんだ」ザフヴァトフが言った。 わたしたちは興奮状態だった。床には、はちきれんばかりに詰まったスーツケースが3つあった。ひとつは巨大なもの。あとの2つはそれよりちょっと小さなもの。許可証、夏物の衣類、冬物、靴……。頭がクラクラした。 「リュックサックだけじゃ無理よ」わたしはザフヴァトフに不満を言った。 ザフヴァトフは、わかったというようにうなずいた。彼は巨大なスーツケースをひっつかむと自分のクルマに積み込んだ。これは、わたしたちの安全が確保され次第、飛行機で送ると約束してくれた。 「さて」とザフヴァトフが別れ際に言った。「ブラブラしてないで、トレーニングだ。国境を非合法に越えるには、体力が必要だよ」 アリーナはランニングを始めた。わたしは自宅軟禁だったので、家のエアロバイクのペダルをこぐしかなかった。ボートでEU諸国を目指すアフリカや中東からの非合法移民の悲惨な光景が頭の中に浮かんだ。
マリーナ・オフシャンニコワ
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