「休むために仕事をしている」と言い切るマイクロソフトのエリートが瞬時に見抜く「成果につながる努力」と「ムダな努力」の違いとは
短い時間でスマートに仕事をしている
欧米企業には、時間外手当のようなものが存在しないため、どんなに遅くまで働いても金銭的なメリットがありません。 メリットがないどころか、土日に働いたり、遅い時間まで仕事をしていると、周囲から「仕事が遅い人」と見られて、評価を落とすことになるのです。 日本企業では、休日出勤や徹夜仕事をしている人に対して、「頑張っている」とか、「仕事熱心」と高評価する風潮が残っていますが、欧米企業では、「そこまで時間を使わないと、成果が出せないのか……」とみなされて「仕事が遅いダサい人」という評価が下されます。 世界のグローバル企業はジョブ型の評価制度ですから、「あの人は短い時間でスマートに仕事をしているのに、すごく成果を出しているね」といわれるような人が、高い評価を受けることになるのです。 欧米企業では、働く時間の長短が問題にされることはなく、仕事の「成果」が出なければ、会社をクビになるのが一般的です。 多くのグローバル企業は、成果主義を採用しています。 エグゼクティブも含めて、成果が出ないと、職を退くよう勧告されています。評価の基準は、働く時間や仕事との向き合い方ではなく、あくまでも成果を上げているかどうか……にあります。 このあたりも、日本企業とグローバル企業の大きな違いといえます。
マイクロソフトで徹底されている「ドゥ・モア・ウィズ・レス」という考え方
マイクロソフトでは、「ドゥ・モア・ウィズ・レス」(Domorewithless)という考え方が企業理念のように徹底されています。 日本語に訳すと「より少ない資源で、より多くのことに取り組む」という意味になります。 多くの労力を注ぎ込んで一つの成果を出すのではなく、少ないリソース、少ない時間、少ないエネルギーによって、より多くの成果を出す……ことを指していますが、それを最もスマートに体現しているのが、マイクロソフトの中枢を担っているエグゼクティブなのです。 彼らに突出しているのは「見極め力」だと考えています。 自分がタスクに注ぎ込むエネルギーと時間が、きちんと成果につながるかどうかを見極める能力がズバ抜けており、そこに彼らがエグゼクティブに抜擢されている一番の理由があるといえます。 彼らが最短の時間と最小のエネルギーで、最大の成果を出し続けられるのは、業務処理能力が優れているからではありません。 マイクロソフトには、それなりにIQの高い社員が揃っていますから、資料を5分で書き上げるなど、仕事が早い社員はたくさんいます。 エグゼクティブは、「成果につながる努力」と「つながらない努力」を瞬時に見抜くことで「ムダな努力」を切り捨てています。 見極め力とは、ムダな努力を素早く見抜いて、すぐに辞める能力……と言い換えることができます。 そのスピーディーな判断の連続が、より多くの成果を生み出すことになり、結果として働く時間が短くなるだけでなく、しっかりと休める環境を作り出しているのです。 日本人には「努力をすれば報われる」と考えるところがあり、目の前のタスクに無我夢中で取り組むことが求められますが、ビジネスの世界にも「重要な努力」と「ムダな努力」が存在します。 彼らは、クールな目でムダな努力を見極めて、重要な努力に全集中することで、たくさんの成果を上げているのです。 日常の仕事で最も時間を取られる「会議」と「資料作成」を例に上げて、彼らの取り組み方を紹介します。