[アントン・ウイッキーさん]くも膜下出血 回復し、「おかげで今も働きづめです」…40年続けているユニークな習慣は?
一病息災
有名人に、病気や心身の不調に向き合った経験を聞く「一病息災」。今回は、英会話講師 アントン・ウイッキーさん(87)です。 【写真3枚】テレビの仕事を始めた頃のウイッキーさん。「ワンポイント英会話」の出演風景も
「(回復して)ラッキーだったのか、アンラッキーだったのか、分かりませんね」。真顔で言うが、もちろん冗談だ。「おかげで今も働きづめです」。米寿を前に、英語を教え続けている。 2003年6月、66歳の時に、自宅でくも膜下出血を発症、緊急手術で一命を取り留めた。後遺症も残らなかった。「でも、もうあんな経験はこりごり。ワイフ(妻)に迷惑をかけたくありません」 療養期間は、英語を教えていた大学の夏休みの時期と重なったため、仕事への影響は少なかった。リハビリを経て3か月後には仕事に復帰できた。 その後の1年間は好きな日本酒も断ち、毎月の検査もまじめに通った。だが最近は、「年に1度のMRI(磁気共鳴画像)検査を忘れてしまうこともあります」。 一方で、40年来続けているユニークな習慣がある。自己流の断食だ。「木曜から土曜まで、飲み物以外、固形物を一切口にしません」。週1日から始め、徐々に3日に増やした。 「私は本当は食べるのが大好き。断食の日に限って、ワイフがいい匂いをさせて自分の夕食を作るんですよ。ステーキとか」と笑う。 それも今では慣れ、断食の後は、何を食べてもおいしく感じられるようになったという。 「きついと思う時もあります。でも人生があやふやだから、ちょっと自分にむち打つのもいいかと思って」。また真顔で言った。
朝晩、100回の腹式呼吸を欠かさないワケ…健康法は「英会話の勉強と同じ」
1979年3月に始まった日本テレビ系「ズームイン!!朝!」の英会話コーナーは長年続き、道行く人に英語で話しかける突撃ぶりが人気を集めた。今も読売・日本テレビ文化センターや目黒学園カルチャースクールなど東京や神奈川で英語を教える。 66歳でくも膜下出血を経験したが、健康に暮らせている。「倒れた後に知ったのは『気』です」。東洋医学で「気」は体内を循環するエネルギーを指し、滞ると心身の不調を招くとされる。「『気』を送られて体調がよくなったという話も聞きます」。体に「気」を巡らせるため、朝晩100回の腹式呼吸を欠かさない。 週3日の断食も続けるつもりだ。始めたきっかけは「ズームイン!!」。金曜日、1週間の放送が終わるとスタッフが決まって飲みに誘う。「気分を害さずに断る方法がないか、プロデューサーに相談したら、『断食と言えばいい。君なら信じてもらえる』と言われて」 冗談だと思ったが、実際にやってみると翌日は体調がすっきりした。 健康法は完璧でなくていいと考える。「やり過ぎはよくない。下手でもいいから、継続することが大事。英会話の勉強と同じです」 失敗を恐れず、毎日少しずつ楽しんで続けてほしい。そんな思いを込め、今日も生徒に呼びかける。 「Have a nice day!」 (文・松本由佳)