“J1仕様”整えた町田。攻守に代表クラスを迎え入れ、スタッフも増員。充実のラインナップに黒田監督も「あわよくば優勝を見据えて」
「マネジメントが大変」と苦笑い
その一方で、ボランチとSBの“大本命”や谷以外の日本代表クラスのGKには首を縦に振ってもらえなかったように、19名の新戦力を迎え入れた昨オフと比較すれば、思うに任せないストーブリーグだったことは否めない。 トップリーグ全体を見据えた町田の立ち位置は、17年の長崎以来となる初のJ1昇格クラブ。たとえ資金面では優位に立っていたとしても、必ずしも町田への移籍を選択しない傾向は、クラブのステータス自体がまだまだ高くない“新興クラブ”であることを象徴している。 それでも黒田監督は「J1に対して、繊細な気持ちで臨むような編成でもない」と自信をのぞかせた。 またもう一つ、今オフにおける大きな変化は、「昨季のスタッフの数では足りなかった」(黒田監督)として、トップチーム周りのスタッフを新たに5名増やしてテコ入れしたこと。主に分析スタッフを増員し、強化部を含めたトップチームのスタッフは実に37人を数える。 選手と合わせ、トップチームの人員はトータル76人と、J1クラブでもレアケースな充実した陣容を手にした黒田監督は、シーズンの目標についてこう話した。 「選手たちには5位以上、ACL出場は常に意識しながらシーズンを戦っていこうとは話しています。そのなかでトップを狙えるならばトップを狙っていこうと。あわよくば優勝を見据えて、自分たちの立ち位置や順位を見ながら戦っていきたいです」 チームを束ねる立場の黒田監督は「なにせ大所帯なのでマネジメントが大変」と苦笑いを浮かべたが、トップチームのスタッフ増員を望んだ指揮官のリクエストに強化部も応えた格好だ。 指揮官が望む陣容を整えた分も、エクスキューズが許されない。それでもマネジメント力に絶対の自信を持つ黒田監督にとっては、むしろ腕の見せどころだろう。 J1定着を望むクラブは、現場の意向に沿う形で昨季以上の投資を惜しまず。昨季はトップチームの人件費に比例する形で結果を勝ち取ったが、今季は投資に見合ったリターンを得られるだろうか。 取材・文●郡司聡(スポーツライター)