市川美織が理想の婚約者像を明かす「厳格な人か、包容力のある人」
女優の市川美織が、8月17日(土)から上演される舞台「ブラックコメディ」に出演する。 【写真を見る】舞台「ブラックコメディ」に出演する市川美織 同舞台は、イギリスの著名な劇作家、ピーター・シェーファーによって生み出された戯曲を、ヨーロッパ企画の大歳倫弘が上演台本、演出を手掛けるもの。ピーターは劇中、明暗が逆転したユニークな手法で表現することで、停電中のパニックを視覚的に際立たせると共に、登場人物たちの隠された本音や嘘を表出させることに成功しており、この型にはまらない異色作を大歳がどのように料理するかというところも見どころの一つだ。 物語は、売れない若手彫刻家が留守中の隣人宅から数々の調度品を無断で借用し、婚約者の父親と億万長者の美術コレクターを招き、さも自らの作品かのように仕立てることで愛と富を手に入れようと画策する。だが、予期せぬ停電がアパートを襲い、招かれざる客も次々と訪れ、暗闇の中でトラブルへと発展していく。主人公の若手彫刻家・ブリンズリーを演じるのは浜中文一。市川は、ブリンズリーの婚約者・キャロルを演じる。 今回、市川にインタビューを行い、出演が決まった時の感想や役作り、自身の理想の婚約者像などについて語ってもらった。 ――出演が決まった時の感想は? 「大きい舞台ですし、元は戯曲ということで硬いイメージもあって、共演する方もすごい方ばかりなので、『私にこの役が務まるのかな』と思って不安だったのですが、今年30歳になりまして、『そういった節目の年にこういう素敵な役のお話をいただけたということは、なにかご縁があるんだな』と思って、感謝して受けさせていただきました」 ――舞台経験が豊富な市川さんでも不安になるのですね。 「毎回違った役ですし、周りの皆さんも違うので不安ですね。年々、不安が強くなっている気がする...(笑)。毎回、稽古している時が一番不安で、でも本番に入ると楽しくて、結局『やって良かったな』というのが勝つので、舞台はすごく好きなんです」 ――役作りについて教えてください。 「どの役でもそうなのですが、どこか私に似ていたり、自分と全然違っても人として共感できる部分があるので、そういうところを自分と役の中ですり合わせていって、稽古しながら馴染ませていきます。そんな中で、台詞も言いやすくなってくる瞬間が訪れる、という感じです。今回のキャロルに関しては、明るくてポジティブで、ちょっと世間知らずなところは自分と似ているかなと思っていて、(自分と役が)馴染むタイミングもすごく早い段階で訪れたので、今は楽しんで稽古しています」 ――稽古の様子は? 「別の舞台の本番期間と(稽古期間が)被っていて、他の出演者の皆さんよりも1週間遅い参加になったのですが、参加する前に共演者の皆さんの稽古動画を見させてもらったら、皆さん台本を持たずに(全て覚えた状態で)稽古されていて、めっちゃ焦ったんです。一番下っ端の私が遅れて参加して台本もしっかり覚えていなかったら、気が引けるじゃないですか!だから、ドキドキしながら現場に行ったら、演出の大歳さんが『まずは、台本を持ちましょうってなりました。そして、とりあえず不安なところは稽古しながら解消しましょうっていうことになったので、台本を読んでいいし、間違えても大丈夫だし、まだ挑戦する段階なので全然大丈夫です』って言ってくださって、すごく入りやすかったです。キャストの皆さんも優しく迎え入れてくださって、私も人見知りしないタイプでもありますので、休憩中もお話させていただきながら、すぐに打ち解けることができました」 ――どのように演じようと思っていますか? 「キャロルは、周りの登場人物から与えられたものを受けてどんどん感情が出てくる役なので、内面的には共演者の皆さんの台詞をそのまま受け取って、そのまま出てきた感情を大切に演じられればと思っています。そんな中で、今の一番の課題はやはり"明暗が逆転している"というところですね。明るい中で暗闇の中にいるお芝居をしなくてはいけないので、みんなそこを手探りしている状態です。暗闇という設定なので、会話していても目が合わないようにしないといけないのですが、感情を乗せるとつい目を合わせてしまって...。あと、部屋の中を動く時も、『最初の方は手探りして移動しているけど、時間が経てばちょっと慣れてきた動きに変わっているのでは?』など、皆さんと話し合いながら作り上げていっています」 ――キャロルは、軍人で厳格な父親にブリンズリーとの結婚を認めてもらうために、ブリンズリーと共に行動を起こすという役どころですが、ご自身のお父様は厳格な方ですか? 「全然違いますね。むしろ"軟らかい系"というか。だから、ブリンズリーもあいさつしやすいと思います(笑)。でも、"売れない芸術家"が婚約者っていうのは、どんな反応をするんだろう...?『まあ、いいんじゃない』って言いそうですけどね。そんなに否定するタイプじゃないし、芸能活動にしても『やりたいことなら、やればいい』ってすごく協力的で、今や私より私のスケジュールを知っているくらい応援してくれています」 ――ご自身の理想の婚約者像は? 「えー、どうだろう...。悩みますねぇ。でも、ブリンズリーは駄目ですね!売れない彫刻家ですし、ストーリーが進むとちょっと駄目な部分も出てくるので。あと、私も優柔不断なところがあって、あれもこれもやりたい派なので、ブリンズリーとはうまくいかなさそうですし。だから、キャロルのパパくらい厳格な人か、私のわがままを全て許してくれるような包容力のある人がいいですね」 ――最後に観劇にいらっしゃる皆さんにメッセージをお願いします。 「現在、稽古をしながらいろんな先輩たちの姿を見て、『こういうアプローチの仕方があるんだ!』と、日々新しい発見をしています。稽古しながらみんなゲラゲラ笑っているくらい物語もすごく面白いので、ぜひ皆さんに見ていただいて楽しんでいただければと思います。劇場でお待ちしています!」 文=原田健 撮影=中川容邦
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