〈増税で財政赤字解消〉所得税と固定資産税、どちらを重くしたほうが効果的?【経済評論家が解説】
大災害への備えは必須
筆者が大いに懸念しているのは、東京一極集中が大災害時の被害を甚大化させるリスクです。阪神淡路大震災のときの火災を思い出せば、神戸より人口密度が高い地域で火災が起きたときの被害は甚大なものとなりかねません。 東日本大震災のときに帰宅難民が大量発生し、道路が歩く人で埋め尽くされたことを覚えている人も多いでしょう。あのときは東京都心部の火事や建物倒壊等が(ほとんど)なかったので大惨事にはなりませんでしたが、一歩間違えれば大災害になっていたかもしれません。 固定資産税を増税するとして、増えた税収の使い道も問題です。地価が高い東京の税収が増えるので、自治体間の税収の格差は拡大しますが、そこは「税収が増えた分は災害対策に使う」と決めればよいのではないでしょうか。 建物の耐震化等を促進するほか、老朽化した水道管を更新することなども重要でしょう。東京の広範囲で断水が発生すれば、給水車での対応では到底間に合わないでしょうから。 客が10人の劇場と1,000人の劇場では、火災が発生した場合の被害に大きな差が生じる可能性があります。それと同様に、地方都市の災害で発生した被害を大幅に上回る被害が東京で発生する可能性があるわけですから、東京の災害対策には大いに力を入れていただきたいと思います。 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義