寄付の先には何がある? 途上国支援としてのビジネスの可能性を考える
活動のドライバーシートに、当事者が座る
現在原さんはこのビジネス以外にも、ガーナ共和国にある人口2,000人ほどの村のリーダーと共に2012年に立ち上げたNGO法人MY DREAM.orgを通じて、現地の教育支援や衛生管理の向上を目指す活動を続けている。MY DREAMを立ち上げて最初の2年は100%寄付に頼っていたものの、村の人たちは10年の間に事業を成長させて寄付から卒業する目標を自発的に掲げ、2022年に見事実現させた。 「日本の方々には『原さんがアフリカでやりたい支援を、どうやって現地の人に理解してもらったのですか?』と尋ねられることがあります。私からするとその発想自体が違っていて、こちらがやりたいことを押し付けてどうするの⁉ と思うんです」 現地では金銭的な寄付を得て、図書館などの立派な設備が造られたものの、計画から完成に至るまで住民は蚊帳の外だったため、結局は十分に使われなかったり、大事にされなかったりするケースを少なからず見てきたという。 「開発協力について考えるうえでは、一時期的に寄付に頼ったとしても、寄付を卒業するフェーズを見据えていることや、その活動のドライバーシートに当事者が座っていることが、とても大事な要素だと思います。そして外からの寄付やサポートなしでも、継続できる活動や事業なのかどうかというのは、みなさんが支援先や支援方法を選ぶ際の重要な指針にもなるのではないでしょうか」 一人でゼロからプロジェクトを立ち上げる旗振り役よりも、尊敬し共感する現地のリーダーに伴走しながら、現地の支援につながる事業に関わる働き方が合っている、と話す原さん。MY DREAMやProudly from Africaのように、課題に直面する人々が主体となって持続的なビジネスをつくっていくことは、途上国の問題だけでなく、さまざまな社会課題に対しての解決策にもなり得るはずだ。
取材:三菱電機イベントスクエア METoA Ginza "from VOICE"