寄付の先には何がある? 途上国支援としてのビジネスの可能性を考える
ビジネスを通じて、アフリカに対する無意識の偏見に気づくきっかけを
原さんは、外務省時代にアメリカの大学院に留学し、インターンでガーナ共和国に滞在した縁からアフリカと関わり始め、現地で本当に求められていると感じた継続的な開発協力のあり方を実現すべく、2019年に日本法人の株式会社SKYAHを設立。アフリカ発の高品質ブランドを届けるオンラインショップ「Proudly from Africa」を開設し、籠編みバックやドライフルーツ、アクセサリーといったアフリカのさまざまな製品を販売している。 「アフリカの貧しい人たちを支援するために買ってあげようというのではなく、まず最初に"いいな"と思っていただけるような商品を扱っています。サイトや商品を見て、アフリカのイメージが変わったと驚かれる方も多く、アフリカに対するアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)に気づくきっかけにもなっているようです」 オンラインショップでは自身が現地に足を運び、いち消費者として気に入ったアイテムを多く販売しているほか、コロナ禍で現地渡航が叶わなかった間には既存の取引先から紹介を受けて巡り合った商品も取り扱っている。そのひとつ、ガーナのドライフルーツブランド「イヴァヤファーム」では、果物の種や皮などの生ゴミから肥料などを生成するシステムを工場に導入し、契約農家に液体肥料を無料で配る取り組みも行っている。 「もちろんこのブランドの商品そのものも素晴らしいのですが、廃棄物や無駄を出さない姿勢にとても共感していて。代表の方がどういう思いでビジネスをやっているのか、経済的成長の先に何を見ているのかという点も、ブランドを選ぶ際に重視しています。そして私としては、そうしたブランドを適正な価格で販売する仕組みをつくることで、みなさんが商品を購入すると、生産者にしっかりと利益が残り、結果的に現地の発展につながるということを大切にしています」 さらに原さんは、Proudly from Africaのビジネスを通じて、「現地の子どもたちに身近なロールモデルを作る」ことも目指している。 「自分の手で作ったものを売ってお金を稼ぐことができると、家族に教育を受けさせたり、病院に連れて行ったり、おいしいものを食べさせることができます。これまで活動を続けるなかで、プロジェクトに関わる女性たちの表情や声が徐々に明るくなり、姿勢も良くなり、それを見ていた子どもが"自分も将来はものづくりをしたい"と語り出したことがあって。身近にロールモデルがいるということは、成長のドライブになり、ゆくゆくは現地の人々の自立にもつながるのだと、強く感じることができたんです」