試合開催の度に各クラブが赤字に、WEリーグ改革のとき 北川信行の女子サッカー通信
あまり報じられていないが、WEリーグは6月に入って相次いで臨時の実行委員会を開催。関係者によると、経営の苦しさを訴えるクラブが相次いだという。
たとえば、ホーム試合の開催経費。スタジアムを借りる賃料や警備員を雇う費用などが入場料収入やグッズ収入を大きく上回り、試合を開催すればするほど赤字が膨らむクラブがほとんどになっている。アウェー試合も遠征費がかかるために赤字。ホーム、アウェーともリーグ平均で、1試合100万円以上の赤字を計上しているとされる。
■身の丈に合った経営で持続可能に
こうした状況とは別に、リーグは高田春奈チェアが理事長を務めるアマチュアのなでしこリーグと一体となった構造改革を模索。以前にも少し記したが、作業部会を組織し、昇降格システムの導入やWEリーグのプレミア化などが議論されているもようだ。
しかし、最も大切なのはWEリーグを存続させること。そのために必要なのは、加盟クラブの保護ではないか。早めに手を打たないと、リーグから脱退したり、消滅したりするクラブが現れかねない。
加盟クラブを保護する具体的な施策として考えられるのは、直接的なものとしては、リーグから各クラブへの配分金の増額が挙げられる。カップ戦にかかる経費などを見直せば、可能なように思う。
それ以外にも「リーグ戦のホームゲームの80%以上をホームスタジアムで実施しなければならない」とのスタジアム条件を緩和して賃料の安い、黒字化を計算できるスタジアムで試合を開催できるようにしたり、「プロ選手を15人以上保有し、うち5人以上はプロA契約選手であること」とのプロ契約選手数の取り決めを撤廃して選手人件費を抑制できるようにしたりすることも、経営難のクラブを助けることにつながる。
また、人気の向上、知名度のアップには、放送、配信方法を見直し、ライト層が試合を観戦しやすい環境を整える必要もあるのではないか。さらには、リーグを持続可能にするためには、未来のWEリーガーを生み出す普及や育成にも力を入れなければならない。