Bloomberg

（ブルームバーグ）： 英ポンドは今年に入り他の主要通貨をしのぐパフォーマンスを誇ったが、市場の信頼が崩れつつある。

ポンドの今年のパフォーマンスは、これまでＧ10通貨で最強だったが、トレーダーはより速いペースの金融緩和を織り込みつつあり、魅力が薄れている。ミレニアム・グローバル・インベストメンツなど一部投資家は、中期的に10％程度の下落を予想する。

イングランド銀行（英中央銀行）のベイリー総裁が発した幾つかのフレーズだけで十分だった。

先週の英紙ガーディアンに掲載されたインタビューで、ベイリー総裁は、インフレが抑制された状態にとどまる場合、利下げについてより積極的なアプローチを取る可能性を示唆した。ポンドはその後４日までに昨年２月以降で最大の週間ベース下落率を記録した。

英ポンド、22年以来の大幅安－ベイリー中銀総裁が積極的な利下げ示唆

ＨＳＢＣホールディングスのシニア外国為替ストラテジスト、ニック・アンドルース氏は、ベイリー総裁の発言が「意図的」であり「重要な意味を持つ」と指摘し、「ポンドにとって転換点になる可能性がある」と認識を示した。

英中銀の緩和ペースが他の中銀に後れを取り、高利回り通貨ポンドの地位が維持されると期待する投資が何カ月も続いた。米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）が９月に0.5ポイントの利下げを決めた後、ポンドの対ドル相場は、一時１ポンド＝1.3434ドルと2022年２月以来の高値を付けた。

米商品先物取引委員会（ＣＦＴＣ）のデータによれば、ヘッジファンドや他のレバレッジドファンドの強気ポジションは過去６年で最も積み上がった状態に近い。

金利市場には、11月の金融政策委員会（ＭＰＣ）会合での約0.25ポイント利下げ見通しが反映されている。その後25年末までの間に127ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）の利下げが織り込まれているが、ＨＳＢＣは225ｂｐとより積極的な緩和を想定している。