アントネッリ起用が確実視されるメルセデス、“ラインアップ決定”報道を否定「何が起きるか分からないので、決断はできるだけ保留したい」
メルセデスのモータースポーツ部門の責任者でありF1チームを率いるトト・ウルフは、ルイス・ハミルトンの後任ドライバーについて“可能な限り時間をかける”とコメント。アンドレア・キミ・アントネッリの起用を決定しているという報道を否定した。 【動画】未来のF1マシンがベールを脱いだ! 2026年レギュレーションを徹底解説 7度のF1ワールドチャンピオンであるハミルトンがフェラーリに移籍することになったため、メルセデスはその後任を決める必要に迫られている。そして現在の選択肢は“秘蔵っ子”と呼ばれる育成ドライバーのアントネッリを昇格させるか、それともディフェンディングチャンピオンであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の引き抜きを諦めずに狙うか……このふたつだとされている。 ウルフ代表は以前、既にレッドブルと長期契約を結んでいるフェルスタッペンの獲得を狙うよりも、今季のマシン『W15』の底上げをすることが重要だと述べ、そうすれば必然的に最高のドライバーが集まってくるはずだとしていた。 メルセデスにとって今季の序盤戦は苦しいものとなったが、カナダ、スペインの直近2レースでは共に表彰台を獲得。ようやく浮上の兆しが見えている。 ここ2戦でメルセデスが見せたパフォーマンスは、フェルスタッペンを納得させるのに十分なものかと尋ねられたウルフは、W15からさらなるスピードを引き出すことに集中する必要があるという姿勢を崩さなかった。 ウルフ代表は次のように語る。 「我々は引き続き改善を進めなければならないし、自分たちのことだけを考えないといけない。これは、ドライバーであるルイスとジョージと共に戦うチームとして最も重要なことだ」 「我々はもっと強くなって表彰台に上がれるように、そしてある段階では自分たちの力でレースで勝てるように、力をつけていかなければならない」 そしてウルフ代表は、レッドブルとの契約を途中で破棄させてまでフェルスタッペンを来季メルセデスに加入させるというプランについては、フェルスタッペン本人とも話し合いをしていないと明かした。 「現段階では話し合いは行われていない。我々は自分自身を見つめ直し、マシンを改善する必要があると思うからだ」 またドイツのメディアでは、メルセデスが既にアントネッリの昇格を決めていると報じられている。 今季がF2参戦初年度となるアントネッリは現在17歳であり、F1参戦に必要なFIAスーパーライセンスの最低年齢である18歳を満たしていないが、FIAは特例として17歳のドライバーに発給することを検討していることが明らかになっている。そうなるとアントネッリが今季中にFP1に出走したり、ウイリアムズの正ドライバーとして参戦する可能性が開ける。こういった背景も、アントネッリに関する報道を加速させている。 ただウルフ代表はメルセデスが既にアントネッリを来季のドライバーに決めているわけではないとして、ドライバー市場の動向をうかがいたいと強調した。 「(来季の)ドライバーは決定していない。誰に何が起きるか分からないので、この決定はできるだけ保留しておきたい」 そう語ったウルフ代表。一方でレッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、フェルスタッペンのメルセデス移籍が何度も取り沙汰される中で、彼が来季もレッドブルに残ることを強調した。 「マックスは来年も(レッドブルに)いる。トトはまだその話をしているのか? 彼は何と言っているんだ?」と尋ねたホーナー代表は、ウルフ代表のコメントについて聞かされると、こう答えた。 「何も話はしていないと言ったと? 彼らは(フェルスタッペンの起用について)話はしているが、(フェルスタッペンと直接)話しているわけではないんだな。OK」
Rachit Thukral