「いつか全部やめたい」あのちゃんが時代の寵児となった理由 〝赤LARK〟以前から芸人と深い関わり
ファンの子が誇り持てるかなぁって
アイドルとしてキャリアをスタートさせ、モデル、俳優、歌手、ミュージシャン、バラエティータレントと活動の幅を広げていったあの。その原点は、鬱屈とした学生生活からの脱出にあったようだ。 「やっぱ学校行けてなかったので引きこもりでやることがなくて。『ずっと同じ天井見てるだけじゃ嫌だなぁ』っていうので、なんか危機感で唯一バンド音楽好きだなと思って、そこに足突っ込んだらぜんぜん違うアイドルだったって感じ」<今年6月19日放送の『これ余談なんですけど・・・』(ABCテレビ)の発言より> 「ゆるめるモ!」は結成されて間もないグループだったが、だからこそ「そこに入って思いっきり変えられる」と可能性を感じた。 知名度を上げたのは、2015年の秋ごろ。ローカルアイドルだった橋本環奈がイベント中に踊る1枚の写真によって「千年に1人の逸材」「リアル天使」と脚光を浴びたように、マイク片手に舌を出し猟奇的な目をしたあのの写真が「橋本環奈が天使なら、彼女は悪魔だ!」とネット上でバズった。 唯一無二の個性でグループをけん引したが、2019年9月に脱退。2022年11月、自身のインスタグラム(ストーリーズ)の中で「期待や頼ってもらうことばかりでどんどん気持ちは追い込まれていって結果的に破滅した」と当時の思いをつづっている。 そもそも、あのは「有名になりたい」と芸能界入りしたわけではない。そんな彼女がなぜバラエティーの露出を増やしていったのか。 今年5月29日深夜に放送された『あのちゃんねる』(テレビ朝日系)の「スナックあの~ニューヨーク×ウエストランド井口~」の中で、あのは「あのとき(筆者注:『新shock感』に出演していた時期)はテレビ出たくなくて。『何でここにいるんだろう、早く帰りたい』しか思ってなくて」と語ったうえでこう続けた。 「別に『暇だしいいや』ぐらいで出てたら、アンチがなんか、僕が真新しくて『何でこんなにしゃべれねぇんだよ』みたいに言われてムカついて。なんかひっくり返したくなったというか。『なめんなよ』って思ったし、ファンの子が、僕が僕のままテレビ出たりとかでいろんな人に知ってもらったら誇り持てるかなぁって」 2021年10月放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の企画「『ラヴィット!』の女性ゲストを大喜利芸人軍団が遠隔操作すれば、レギュラーメンバーより笑い取れる説」で、「ほぐした赤LARK」などのパワーワードでお茶の間を沸かせたことは記憶に新しいが、このようにあのはひと癖ある企画でも爪痕を残し、幅広い世代に認知されていった。 前述の『勝手にテレ東批評』の中で、彼女は売れっ子となった現在でも「自分が思ったタイミングで、いつか全部やめたいかなって。だって向いてないもん、僕。(筆者注:テレビが)向いてはないって今でも自覚あります」と語っている。切り拓いてきた自分自身のキャリアにさえ執着はなく、興味やモチベーションを失った時点であっさりと手放すつもりなのだろう。 この刹那的な生き方が、見る者を惹きつけるのかもしれない。同番組であのは「コントとかは自分が手出しちゃいけなさそうだからこそやってみたい」と口にしていた。今後も、周囲の予想を裏切るような彼女の活躍ぶりに期待したいところだ。