あす米中首脳会談 “関係緊張”の中でパンダ返還相次ぐ 中国人の「土地取得禁止」の法律も…
日テレNEWS NNN
「パンダ外交」で知られる中国ですが、今、アメリカではパンダの返還が相次いでいます。背景には“米中関係の緊張がある”との指摘があるなか、16日に米中首脳会談が行われます。 ◇ 日本時間15日朝、アメリカに中国の習近平国家主席が降り立ちました。 厳重な警備態勢のなか、習主席を乗せた車列が宿泊するホテルへ向かいました。ここでは、国旗を振って歓迎ムードを演出する人々がいる一方で、中国の体制に抗議する人たちも集結。 大きな垂れ幕で抗議のメッセージを掲げると歓迎派の人たちが中国国旗で隠すように妨害する場面が見られ、また、両者の殴り合いにまで発展するなど、一時騒然としました。 約1年ぶりとなる米中首脳会談を16日に控え、警戒が強まるアメリカ国内。 先週、パンダを乗せたトラックがワシントンのスミソニアン動物園を出発しました。“米中友好のシンボル”として、50年あまり愛されてきたパンダがワシントンから姿を消したのです。 来園者 「パンダが戻ってこなかったら泣いちゃいます」 中国が戦略的にパンダを貸し出す「パンダ外交」で、アメリカにやってきたパンダ。今回、中国は返還期限を前に貸し出しの延長に応じなかったといわれています。 動物園は、返還1か月以上前からお別れイベントを開催。さらに園内では、中国大使館が書道やお面作りの体験コーナーを設置。パンダの着ぐるみまで用意して、来園者の思い出作りに一役買う様子も見られました。中国への反感を和らげる狙いがあるとみられます。 来園者 「本当にパンダに戻ってきてほしいです」 「米中関係がよりよくなることを願っています」 アメリカではパンダの返還が相次いでいて、来年には全てのパンダが中国に返される見通しです。 背景には米中関係の緊張があるとの指摘もあります。アメリカは中国を「唯一の競争相手」と位置づけていて、両国の対立は激しくなっています。 今年2月には、中国の偵察気球がアメリカの領空に侵入。アメリカ軍がこれを撃墜し、関係が急速に悪化しました。 政府高官の対話が一時、途絶えましたが、バイデン政権は6月にブリンケン国務長官を中国に派遣。その後、両国が交流を重ね今回の首脳会談につながりました。 しかし、アメリカでの対中感情は厳しいままです。 ◇ こうしたなか、私たちは西部モンタナ州に向かいました。農業が主要な産業です。 牧場を訪ねると雪の中、牛のエサやりの最中でした。 牧場の従業員 「毎日ニュースで流れていたよ」 地元で大きなニュースになったと話すのは、今年2月、モンタナ州の上空を飛行した中国の偵察気球。モンタナ州には大陸間弾道ミサイルを運用する空軍基地があり、軍事施設の偵察を狙った可能性が指摘されています。 こうした出来事をきっかけに中国への反感が高まり、モンタナ州では中国人が農地や重要インフラ施設周辺の土地を取得することを禁止する法律が今年5月に成立。 モンタナ州の農家は年に1回、大規模な会合をひらき、農業に関わる政策や法律について議論をかわしています。 会合の参加者 「大規模な人口を抱える中国が食料を必要としているのは明白で、彼らは私たちから食料を奪おうとしている。私たちは土地や食料安全保障を手放す必要はどこにもない」 世界の2大国のトップが直接話す米中首脳会談。米中関係を安定させることができるのか。会談は日本時間16日、行われます。