丘みどり「一番こたえたのは祖母をがっかりさせたことでした」過酷なアイドル時代と演歌歌手デビュー当時の衣装
THE CHANGE初の和服姿で登場するのは、演歌歌手の丘みどり。18歳のときにアイドルユニットのメンバーとしてデビューし、21歳で演歌歌手に。2025年、デビュー20周年を迎え、1月は初主演舞台を控える丘みどりのTHE CHANGEとは――――【第1回/全5回】 ■【画像】丘みどり「祖母をがっかりさせた」演歌歌手デビュー当時のへそ出し衣装とアイドルユニット時代の貴重な写真 子どものころから演歌が大好きで、いつかは自分も演歌歌手になりたいと夢見ていた少女「岡美里」が、最初にアクションを起こしたのは高校3年生のときだった。 「オーディション情報誌に『アイドルユニットHOP CLUB新メンバーオーディション開催! ホリプロ大阪支社』と大きく載っているのを見つけて応募したんです。とにかく事務所に入れさえすれば、演歌を歌えるのだと思って」 見事合格はしたものの、当時のHOP CLUBの主な仕事は大阪のバラエティ番組など。演歌どころか、歌うことすらできなかった。 「メンバーそれぞれに担当があって、“あなたはグラビア”“あなたはしゃべりができるからトーク番組”“あなたはお芝居”と割り振られたんですけど、私の担当はなんと、“身体を張ったロケ”。犬に追いかけられたり、冬の海に落とされたり……。あるときなんて、走って転んですりむいたら“血が出とるやないか! 血が見えたらオンエアできんやろう!”って叱られて、手でケガを隠してロケを続けたこともありましたね」
やっぱり私は、演歌歌手の夢をあきらめられない
つらい仕事も、いつか歌える日が来ると思ってがんばった? 「いえ、そのときはつらいと思っていなかったし、いただいたお仕事をちゃんとやろう、と一生懸命にやってました。でも、ふと我に返ったとき、“やっぱり私は、演歌歌手の夢をあきらめられない”と強く思ったんです」 HOP CLUBを1年で卒業し、別の芸能事務所に移籍。 そして2005年8月、「岡美里」は、演歌歌手「丘みどり」としてデビューを果たす。 「デビュー曲は『おけさ渡り鳥』。ついに夢が叶った! と、めっちゃ嬉しかったです。ただ……衣装を見たときは、かなりショックでしたね」 21歳の美人演歌歌手に事務所が用意したのは、ミニスカートのヘソ出しルック。彼女はこの衣装で、全国のスーパーやレコード店などをキャンペーンでまわった。 「真冬の雪が舞う屋外でも、この衣装。でも私は“この衣装で歌うのがプロ根性”だと震えながら歌っていたのですが……」 ――――見ている方が寒い。そんな格好で演歌を歌うな。 お客さんからの辛辣な声に、心も凍えそうになった。 「でも、一番こたえたのは、私がきれいなお着物で歌うことを待ち望んでいた祖母を、がっかりさせたことでした。“そんな格好で歌うんなら、地元のお祭りには来んといて。恥ずかしいから”と悲しそうな顔で言われたときは落ち込みました。弟も“おまえの姉ちゃん、ヘソ出して演歌を歌ってる”とからかわれたと聞いて……。私は好きな演歌を歌えるのだったら、おへそを出すくらい何でもない! と思っていたけど、家族がイヤな思いをするのは、とてもつらかったです」 そして10年が経つころ、丘みどりは、歌手生活を振り返ってもっとも大きなTHE CHANGEだったという決心をすることになる。 丘みどり(おか みどり) 1984年7月26日生まれ。兵庫県姫路市出身。11歳から数々の民謡コンクールで優勝。2002年にアイドルデビューするが、演歌歌手への夢を追い求めて2005年に『おけさ渡り鳥』で演歌歌手としてデビュー。2016年に第9回日本作曲家協会音楽祭「奨励賞」、第49回日本作詩大賞「優秀作品賞」を受賞し、2017年から3年連続でNHK紅白歌合戦に出場。2024年12月25日にオリジナル曲とカバー曲を収録したアルバム『JOURNEY』をリリース。 工藤菊香
工藤菊香