【マイルCS】団野ガッツ!ソウルラッシュが悲願のG1初制覇 6歳秋に新マイル王襲名
三度目の正直で秋のマイル王襲名だ。「第41回マイルCS」が17日、京都競馬場で行われ、4番人気ソウルラッシュは馬場が奇麗な外めを突く絶妙なコース取りで2馬身半差の差し切りV。一昨年4着、昨年2着に続く参戦でG1初制覇を飾った。3度目のコンビで力をフルに引き出した団野大成(24)は昨年高松宮記念(ファストフォース)以来、2度目のG1制覇。池江泰寿師(55)は17年ペルシアンナイト以来の当レース2勝目となった。 早過ぎるガッツポーズに思いが込められていた。ラスト200メートル過ぎで先頭にソウルラッシュ。後続との差を見る見る広げ、ライバルを寄せつけない。ゴール手前、勝利を確信した団野は馬上で左手を高々と掲げた。喜びから高ぶる気持ちを抑えきれない。鞍上は「とてもうれしい。最高の気分ですね。ガッツポーズは少し早過ぎたけど、このレースにかける思いが強かった」と勝利をかみしめた。 前哨戦の富士S2着後、すぐにコンビ継続で本番に挑むことが決定。「抜てきしてもらい、うれしかったと同時に絶対、結果を出したい」。この熱い気持ちだけは誰にも負けなかった。 五分のスタートから道中は10番手追走。馬群の中でしっかり我慢が利いた。完璧なレース運びで直線に入ると、早め先頭で押し切りを図ったウインマーベルの外から自慢の末脚さく裂。並びかける暇を与えずに差し切った。「道中のリズムや進路取りでスムーズに運べたのが最後の伸びにつながった。(ゴール前は)誰も来ないでくれと。気持ち良かった」と笑顔を見せた。 団野は10日のエリザベス女王杯の後、深夜便で中東バーレーンへ飛び、現地15日にサキール競馬場で行われたバーレーン国際トロフィー(6着ヤマニンサンパ)に参戦。レース後は約10時間のフライトで16日午後5時に関西国際空港着。そのまま調整ルームに入った。池江師は「彼がバーレーンに行っている時、(ソウルラッシュのことで)少し話がしたいと。国際電話が高いからラインの登録してくださいと言われたが(やり方が難しく)私ができないので…」と笑えるエピソードを明かした上で、「今朝、打ち合わせをしてゲートを出てからのポジション取り、勝負どころのズブさ。いつもの2点に気をつけてと伝えました。うまくかみ合った」と鞍上を称えた。 7度目の挑戦でつかみ取ったマイル王の称号。指揮官は「本当に感無量ですね。種牡馬入りさせたいし、そのためにはG1のタイトルがないと。特にマイルは種牡馬の需要も高いので、そこがうれしかった」と喜びを口にする。今後は昨年(4着)に続き、既に招待を受諾している香港マイル(12月8日、シャティン)に参戦。6歳秋、G1ホースの仲間入りを果たしたマイル王がさらにタイトルを積み重ね、種牡馬の価値を高める。 ◆ソウルラッシュ 父ルーラーシップ 母エターナルブーケ(母の父マンハッタンカフェ)18年3月28日生まれ 牡6歳 栗東・池江厩舎所属 馬主・石川達絵氏 生産者・北海道日高町の下河辺牧場 戦績22戦8勝(うち海外1戦0勝、重賞4勝目) 総獲得賞金6億3833万2500円 馬名は魂の突進。 ◇団野 大成(だんの・たいせい)2000年(平12)6月22日生まれ、滋賀県出身の24歳。栗東・斉藤崇厩舎所属。19年3月にデビューし、初勝利(3月17日)は父・勝(まさる)助手の担当馬タガノジーニアスで挙げた。21年日経新春杯(ショウリュウイクゾ)で重賞初制覇。JRA通算3889戦279勝(うち重賞10勝)、1メートル62、47キロ。血液型A。