リニア静岡工区「大多数の賛成あれば政治家として決断したい」 静岡県・鈴木康友知事に聞く
5月の静岡県知事選で初当選した鈴木康友知事が19日までに産経新聞のインタビューに応じ、川勝平太前知事が静岡工区の着工を認めてこなかったリニア中央新幹線への対応や今後の県政運営について語った。(青山博美) ――リニアへの対応は 「重要性は理解している。(工事と)大井川の水資源確保や南アルプスの生態系保全との両立を前提に推進していく。既にJR東海との間で課題は整理されている。国のモニタリング会議によるチェック体制もできた。山梨県内の(静岡県境付近での)ボーリング調査などは山梨県とJR東海の3者で合意した。引き続き課題を解決しながらスピーディーに進めていく」 ――静岡工区の着工認可の判断については 「大井川流域の市町や関係者も含め、100%の賛同は得られないだろう。ただ、大多数の賛成があれば政治家として決断したい。それが、環境問題との両立を前提に進めるこの種の開発の手法だと考えている」 ――リニア整備で静岡県に見込まれるメリットは 「リニア開通後は東海道新幹線のダイヤに余裕が生まれ、静岡県内の東海道新幹線の駅に停車する列車本数の増加が期待できる。静岡空港への新駅整備も求めたい。ただ、リニアのダイヤや利用状況などは現時点では分からず、具体的な議論は難しい。今後も、JR東海との対話を続けていきたい」 ――静岡県政にはリニアに限らず課題が山積している 「伊豆地域の防災対策や人口減少対策を進めていきたい。(4期16年務めた)浜松市長時代にスタートアップ支援に取り組み、ベンチャー企業や起業家の誘致、新規産業の創出などで効果がみられた。こうした取り組みを全県に広げ、移住の促進や地域経済の活性化につなげていきたい」