警察幹部が「本物のワル」「治安上の脅威」と名指しする“闇バイト強盗”の黒幕「トクリュウ」とは…
「日給15万円以上」のはずが...
横浜市青葉区の強盗殺人事件で逮捕された男は、「(事件の)数日前にSNSで『ホワイト案件』『高収入』と検索したところ、『日給15万円以上』との書き込みを見て応募した」と供述。事件直前に現場近くで初対面の男2人と合流して自分の車で向かいつつ途中で強盗を無理強いされることに気づいたが、引き返すことはなかった。 東京と埼玉で連続して発生した強盗傷害事件で逮捕された男らは「闇バイトに応募して指示役から『逃げたら殺す』と脅迫され、強盗をせざるを得なかった」と供述。この時点で実行犯の多くが現場で逮捕されていたことから、多くの実行犯の若者たちを背後で操っている指示役としての犯罪グループ、「トクリュウ」の存在が浮かび上がった。
30個のアカウントを駆使して指示していた
合同捜査本部の調べで、首都圏の連続強盗事件では、指示役が通信アプリを通じて約30個のアカウントで実行役に指示していたことが判明した。アカウント名は戦国武将として知られる「織田信長」「明智光秀」などのほか、文豪の「夏目漱石」。ほかに漫画やテレビ番組のタイトルをまねた「JOJO」「ゴッサム」といったもの。 さらに、「赤西」「小山豊」などの個人名のようなものなども確認されている。一部のアカウント名は複数の強盗事件で重複して使われていた。
使い捨てにされる若者たち
SNSで指示された実行役が連続して強盗事件を引き起こした例として「ルフィ事件」がある。ルフィなどを名乗る男たちの指示によって、2022~23年に全国で発生した。一連の事件のうち、23年1月に東京都狛江市の住宅で起きた事件では90歳の高齢女性が全身を暴行されて死亡するといった残忍さで新聞やテレビのニュースで大体的に報道された。 関連する強盗事件は14都府県で50件以上に上り60人以上が逮捕された。いずれも、「ルフィ」や「キム」などを名乗った渡辺優樹、今村麿人ら4被告がフィリピンの入管施設から指示していた。 前出の警察当局の捜査幹部は、「指示役は安全地帯にいて、危険な強盗を実行役らに強要する犯行形態も今秋の首都圏での連続強盗とルフィ事件は構図が同じだ。高額報酬にだまされて実行役となった若者たちは使い捨てにされるだけだ」と特徴を指摘する。