高校バスケ部わずか6人…経営難で “最後の夏”全国大会への“軌跡”【バンキシャ!】
バスケ部員が暮らす寮も大変なことになっていた。 部員 「ここから水が降ってくる」 大雨が降ると、このありさま。 部員 「もうないと信じたい…梅雨終わったし」 部員 「あと1回くらいあるやろ」 さらにバスケ部が練習する体育館でも… 部員 「あそこ光っている…外から見ると穴があいてて、そこからハトが中入ってきて、フン落とされて、それを僕らが毎日掃除している」 老朽化した設備を修理する余裕すらなくなっていた。 過酷な高校生活を強いられたが、バスケ部を離れることはなかった。そのワケは… キャプテン 二宮くん 「やっぱ…こいつらのおかげ。仲間っていうか家族なんで。みんな支えてくれたんで、僕がやめたくなった時も。だから残れたかな」
インターハイまであと8日。 「おはようございます」 連日、猛暑が続くが、練習を行う体育館にエアコンは無い。マネジャーもいないため、練習前の準備もすべて6人で手分けして行う。 練習が始まった。しかし暑さのせいか、この日は動きにキレがない。集中力を欠いたプレーも。その直後だった…。 和中監督 「もう終われ。こんな練習意味ない」 突然、監督が練習を打ち切り、体育館を離れてしまった。 部員たち 「なんでこうなったかわかってる?」 「一生懸命さが1ミリも感じられない…マジで」 「どうなの? 一生懸命やってた?」 「あんまり?」 「去年みたいに人数がいないから、盛り上がりがないのはわかる」 「人数少ない…しょうがないそれは」 「けど一生懸命さがなくなるのは、それは違うと思う」 「きついのはわかる…暑いし、ここ」 「エアコンもついてないし環境悪いのわかるけど、でも頑張るしかないんだから頑張ろう」 「絶対勝とうマジ」 “過酷な環境を言い訳にはしない”――6人の練習は続いた。
そして迎えたインターハイ当日。 「着いたっす」 ここが、夢の舞台。6人で挑む最初で最後の、夏の戦いが始まる。全国の強豪53校が頂点を目指す戦い。 キャプテン 二宮くん 「チームワーク、団結力っていうのが一番ほかのチームより僕らは強いと思うので、そこが見せたい」 いよいよ試合開始。黒のユニホームが南陵高校。相手は白の宮崎、延岡学園。インターハイを制したこともある強豪だ。 たくさんの部員を抱える相手チーム。ベンチにも7人が控える。一方、南陵ベンチは1人だけ。相手は次々と選手を交代させていく。 人数的には不利な状況。しかし、南陵は粘りのディフェンスを見せ、互角の展開に持ち込んでいく。 前半をなんとか同点でしのぎ、後半に入ると、キャプテンの二宮くんが3Pを決め、流れを引き寄せる。さらに、二宮くんから、最後はアブバカくんへ。シュートが決まる。 しかしこの時、アクシデントが…。相手の肘がアブバカくんの顔を直撃し、目尻を大きく切ってしまった。6人だけの南陵高校。1人でも欠ければ、勝利は遠のいてしまう。 「これでいい、OK」 応急手当てだけ済ますと再び、コートへ。その後も全員で泥臭くボールを追い続ける。 そして、終了のブザー。接戦を制し、勝利をあげた。6人全員が思いをひとつに戦った結果だった。 キャプテン 二宮くん 「仲良さそうにやって、楽しく終われたんで。あしたも頑張ります」 *** 試合は連日続く。2回戦の相手は関東を制した強豪だ。6人の最後の夏、どこまで行けるのか。 6人だけの南陵高校が次に挑むのは、関東大会王者の八王子学園。白のユニホームが南陵。格上相手に真っ向勝負を挑む。ひるむことなく、走り続ける。 しかし、力及ばず敗戦。 「礼、ありがとうございました」 6人で挑んだ最後の夏が終わった。 キャプテン 二宮くん 「どの部分とってもやっぱり自分たちより格上で、差を感じましたね」
でも試合後、嬉しいことが。ファンになったという子どもたちが握手を求め、やってきたのだ。 6人だけの戦いは、多くのファンの心に刻まれた。 *8月18日放送『真相報道バンキシャ!』より