高校バスケ部わずか6人…経営難で “最後の夏”全国大会への“軌跡”【バンキシャ!】
深刻な経営難に陥り、生徒数が激減した和歌山県の高校。バンキシャは、そのバスケットボール部を取材しました。部員は3年生の6人だけ。それでも高校バスケの頂点を決めるインターハイに出場。全国に挑む、たった6人のバスケ部。最後の夏を追いました。【バンキシャ!】
この夏、バスケットボールの高校日本一を決める戦い、インターハイが行われた。会場で一際、注目を浴びていたのが、和歌山の南陵高校。部員は3年生の6人だけ。 部員 「人数はあんまり関係ないので」 「やるだけなのでやるしかない」 「頑張ります」 部員が6人になったのは、学校が深刻な経営難に陥ったため。厳しい環境の中、逆境を乗り越え、全国に勝ち上がってきた。 しかし大会中、アクシデントが発生。窮地に追い込まれてしまう…。わずか6人で全国に挑んだ南陵高校、その最後の夏の戦いを追った。 *** 和歌山にある南陵高校をたずねると、広い体育館を使い6人だけで黙々と練習に励んでいた。人数が少ないため練習にはひと工夫が必要。用意していたのは、赤い三角コーン。 バンキシャ! 「コーンは何に使う?」 部員 「ピック(選手)の代わりです」 バスケは1チーム5人で戦うスポーツ。試合形式の練習では人数が足りない。コーンを選手に見立てて、やるしかない。 バスケ部を率いる和中監督も、6人だけのチームを指導する難しさを感じていた。 和中監督 「長くて1時間半くらいで練習終わるんですけども、練習強度あげたりすると、ケガにもつながるし、そこは今年一番の悩みというか」 ケガで一人でも欠けてしまうと、練習すらままならないのが現状だ。
ハンディとなることも多い中、キャプテンの二宮くんは6人だけのチームに自信を持っていた。 キャプテン 二宮くん 「人数は少ないんですけど、みんな一人一人が勝ちたいと思っていて」 「メンタル(の強さ)っていうのが僕たちの武器なんで」 6人だけで臨んだ和歌山県大会で見事、優勝。全国への切符をつかみとった。 「これ全部、歴代の先輩がもらった賞状です」 実は4年連続で全国大会に出場している南陵高校、かつては県内屈指の強豪として知られ、全国から多くの選手が集まってくるほどだった。 キャプテンの二宮くんも、中学時代にはプロチームの下部組織で優勝したこともある実力者。愛知県の中学校からスポーツ推薦で入学、ほかの部員とともに寮で共同生活を送っている。 バスケ部で唯一の留学生がナイジェリア出身のアブバカくん。203センチの恵まれた体格をかわれスカウトされた。入学当初は日本語を話せなかったが猛勉強し、今では漢字の書き方を学ぶほど上達した。 アブバカくん 「好きな言葉は“やるしかない”」 才能あふれる部員たちが集まる南陵高校だが深刻な経営難に陥り、教職員の給与未払いや公共料金の滞納など問題が多発。不安を抱いた生徒たちが相次ぎ転校し、和歌山県からは新たな生徒の募集を禁止された。 その結果、全校生徒は18人にまで激減してしまった。40人以上が所属していたバスケ部も今では6人だけに。