2月だけじゃない、年4回の「節分」に恵方巻きは定着するの?
2月の「節分」に恵方巻きを販売する商習慣はいまや全国的に広がった感がある。節分には「季節を分ける」という意味があり、本来は2月の立春の前日に加え、5月の立夏、8月の立秋、11月の立冬のそれぞれ前日も節分にあたる。これに目をつけた大手コンビニ各社は、2月以外の節分向けにも恵方巻きを用意し、新たな需要創出に期待する。 SNSが提起した「コンビニ恵方巻の大量廃棄」報告、食品ロスはどれだけか?
夏の恵方巻きは酸っぱく、焼き肉入りに
セブン-イレブン・ジャパンでは2013年から、従来の2月に加え、8月の節分向け恵方巻きの販売をはじめた。親会社のセブン&アイ・ホールディングスの広報センターは「縁起の良い風習として夏の節分でも恵方巻きを販売し、商戦の拡大を期待した」と説明する。 昨年8月の節分向けには、さっぱり食べられるよう酢飯の酸味を強めたり、スタミナがつくよう焼き肉入り商品を開発するなどの工夫をこらしたが、肝心の売上高は「冬の足元にも及ばない。認知度不足は否めない」と率直に認める。ただ、販売は年々伸びつつあるとして、今後の定着に期待する。
2月の恵方巻き認知度は十分との判断
ローソンは、2014年から年4回すべての節分に向けて恵方巻きを販売する。同社広報室によるとは、恵方巻きに対する世間の認知度が上がったと判断し、他の3回の節分にも拡大した。 今のところ一番売れるのは2月の節分だという。今年も2月に加え、春、夏、秋の節分向け商品を用意する予定。ファミリーマートは、2月、5月、8月の年3回の節分向け恵方巻きを販売するが、他の2社と同じく、5月や8月の売り上げは2月に及ばない。
伸びている商品なく、あわよくば
こうした動きについて、コンビニ業界にくわしい東レ経営研究所の永井知美チーフアナリストは「コンビニ業界では昨今、特に伸びている商品が見当たらない。恵方巻きなら好んで買う顧客が存在するので、あわよくば他の節分時にも販売し、新たな季節の風物詩にしたいということなのだろう」と見ている。 (取材・文:具志堅浩二)