全戸訪問と個別支援で〝被災者見過ごし〟なくしたい 一人一人に寄り添う「伴走型支援」 能登地震半年
具体的には、①戸別訪問で困りごとを把握②一人一人の実情に合わせた個別支援計画を策定③専門家がチームになりきめ細かく支援する-という3段階で実施され、「災害ケースマネジメント」とも呼ばれる。
能登半島地震の支援は現在、①から②への移行期。輪島市では全約1万1千世帯への戸別訪問をほぼ完了し、早急に支援が必要な164人を把握した。7月から段階的に個別支援計画づくりに取り掛かる。
今後は公的支援だけでは解決できない法律上の課題は弁護士に、経済的な相談はファイナンシャルプランナーに、自宅再建に関しては建築士に-と、各分野の専門家がチームを組んで一人一人に寄り添った支援を行い、生活再建につなげていく想定だ。
■法改正し制度化めざす
被災者の生活再建の支援策として注目される災害ケースマネジメントだが、まだ浸透しているとは言い難い。
すでに条例に定めた自治体は、鳥取県、徳島県などごくわずかだ。大阪公立大の菅野拓准教授(人文地理学・復興政策)は「石川県も事前の体制整備を行っておらず、ゼロからのスタートだった」と語る。
菅野さんは、阿部さんらとともに6月上旬、被災者支援に関する法律を改正して災害ケースマネジメントを法制化するよう、国に要望した。「法律に位置付けられた仕組みではないので、各自治体が取り組むことが難しい。制度化して支援の網から漏れてしまう人をすくい上げることは、災害関連死の減少や復興の迅速化につながる」と訴えている。 (田中万紀)