新NISAで一体何を買うべき? 経済理論から導かれる「意外な銘柄」
新NISAが話題だ。銀行に預金をしていても将来の蓄えにはならない時代だからこそ、投資で増やすのは生活防衛としてやっておいたほうがいいのは常識である。 新NISAの恩恵とは? 株式投資理論としては「分散投資」が正しい。たくさんの株式に分散することでリスクを減らせる一方で、世界経済全体は成長していくので全体としてはプラスが見込める。パーフェクトな理論なのだ。 そうなると一番人気は、オールカントリーといって世界中の株に分散投資をする投資信託で、その次がアメリカの代表的な500の銘柄に投資をするS&P500連動の投資信託だ。 ただこれから投資を始める人にとっては心配事がひとつある。今は歴史的な円安だから、今から新NISAで外国株に投資をすると、円高で損をするのではないかという話だ。直近で1ドル=148円だから、もし元の110円に戻ったとしたらそれだけで財産は25%も目減りしてしまう計算だ。だから確かに不安要素ではある。 一方で日本株が今、絶好調だ。日経平均はバブル期の1989年に記録した最高値をいよいよ更新しそうな勢いだ。特に、外国人投資家が円安で割安になった日本株に積極的に投資をしてくれているおかげで、日本株も現実にはアメリカ株と同様に値上がりしているのだ。 「だったら日経平均連動型の投資信託でいいじゃないか?」 そう思うかもしれないが、経済学的にはひとつ落とし穴がある。 新NISAで投資をする目的は、将来の生活資金を長期的に蓄えることだ。しかし、日本株は目先の短期間しか値上がりしないかもしれない。なぜなら、少子高齢化で人口が減る日本は、長期的な未来には縮小する市場であると予測されているのだ。 株式を上場する日本企業の多くは日本国内をビジネスの対象にしているのだが、そのような株は長期的な成長性は低い。だから日経平均に分散投資をするのは、その観点でリスクがある。 そうなると、海外に展開をして成長する日本企業の個別株を投資先にしたほうがいいと考えられる。トヨタやソニーグループ、東京エレクトロンといった世界を相手にビジネスをする企業の株なら、成長性のリスクはない。 ただしここにも問題がある。そういった日本のメーカー株の成長性はみんなよく知っている。つまり、日本の優良メーカーの株価には、すでにそのような将来の成長性が織り込まれていて、株価はその分、高くなっているのだ。 このように、投資とは簡単にはいかないものだ。将来グローバルに成長するけれどもまだみんながそれほど注目をしていない。そんな日本企業の株を新NISAで買っておくのが、為替リスクもなければ成長期待もできるのだが、そこが難しいのである。 さて、そのような会社があるとしたら、私のような経済評論家の視点で見ればそれは外食か小売になるはずだ。なぜなら、日本企業がグローバルな成長のトレンドにのるとしたら、中国アジア市場が重要で、その市場でまだ未開拓なジャンルがあるとすれば、これから成長する第三次産業のほうが可能性が高いからだ。 そのセオリーですでに成長軌道にのっている会社のひとつが、ユニクロを運営するファーストリテイリングだ。ファーストリテイリングもトヨタやソニーグループ同様、すでに株価が高くなっている。しかし、海外のユニクロの売上が国内を超えて成長していることは注目に値する。 なにしろ円安の今は、海外からの利益はどんどん増える。メーカーは円安になると海外売上分の利益が増える。それと同じ現象で、小売業でも海外の売上が大きい会社は円安効果で利益は増大する。 そして、ユニクロの市場としてみれば、日本国内よりも中国アジアのほうがはるかに広大だ。今は海外の方が国内よりもちょっと大きいぐらいだが、10年後を考えるとユニクロの海外売上は日本国内の数倍になっていくだろう。