ディーゼルエンジンでカーボンニュートラル!マツダが目指す「市販車へのHVOドロップイン」は、日本でも実現するのか
ディーゼルに使えるカーボンニュートラル燃料「HVO」とは
スーパー耐久シリーズはまさに、内燃機関の未来を育む「走る実験室」。水素をはじめ合成燃料やバイオディーゼルなど、CO2排出量実質ゼロを目指したエンジン車たちが、それぞれの課題に向き合い、克服するために切磋琢磨しています。一方で気になるのは、そうした挑戦が市販車の世界に生かされるのは、果たしていつなのか?今回はディーゼルの活路を開こうとしているマツダの取り組みに注目。開発担当者の「市販化」に向けた展望など、ディーゼルファンはもちろん、内燃機関の将来に期待したいクルマ好きにはぜひ期待して欲しい「これから」のお話です。 【写真はこちら】実は「既存の内燃機関をどれだけCNに近づけるか」が、地球の未来を左右するのかもしれない(全13枚) 2023年のENEOSスーパー耐久シリーズは、11月の富士4時間耐久を最後に今シーズンが終了しました。 2021年から新設されたST-Qクラス(他のクラスに該当しない、オーガナイザーが認めた開発車両)ではマツダ、トヨタ、スバル、日産、ホンダ(ゼッケン順)の国内5社がそれぞれに得意とする分野での内燃機関搭載車両・計7台のマシンを投入、健闘しました。 そんな中で唯一、ディーゼルエンジン搭載車で参戦しているマツダ3(MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept)に使われるカーボンニュートラルな燃料(CNF)が、「HVO」と言われるバイオディーゼルです。 バイオマス由来の成分濃度が100%の「HVO100」としてマツダは、今シーズン前半は国内のバイオテクノロジー企業ユーグレナから、後半はフィンランドの大手エネルギー企業 ネステ社から供給を受けました。 HVOとは「HydrotreatedVegetable Oil(水素化植物油)」を略したもの。主に植物性の廃食油・非可食油を原料に、化学処理(水素化精製プロセス)を経て合成されます。 燃焼時にはCO2を排出しますが、生育過程で光合成によってCO2を酸素に分解する植物を原料としています。そのため、実質カーボンニュートラルな燃料としてHVOは、欧州において軽油代替燃料として急速に普及が進んでいます。 とくにスカンジナビア地域(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)を中心に、2022年2月時点で600カ所以上のガソリンスタンドでHVOが取り扱われている、とのこと(アウディ調べ)。 ボルボが2024年初頭に、全ディーゼルエンジン搭載モデルの生産を終了すると発表していますが、そのおひざ元であるスカンジナビア地域で内燃機関向けのインフラ整備が進んでいるというのも、不思議な話です。 ドイツでも2023年3月から、e-fuelなどとともに、給油所での100%合成燃料の販売が政府から承認されました。 すでにアウディは、2021年6月以降に生産された直4ディーゼルターボについて、HVO100の使用を承認しました。3L V6ディーゼルターボについても、2022年2月中旬時点で製造されたモデルすべてにつき認証。フォルクスワーゲンブランドでは、同型エンジンを搭載したトゥアレグにHVOを使うことが可能とされています。