4分で組み立て可能な東芝製ドローン、ウクライナが実戦投入の最新機器…日本唯一のテロ対策展に迫った
’24年10月9~11日、東京ビッグサイトにおいて「危機管理産業展(RISCON TOKYO)・テロ対策特殊装備展(SEECAT)」が開催された。このイベントは文字通り危機管理やテロ対策をテーマに’05年に初開催されており、’07年からはテロ対策特殊装備展も始まった。年を追うごとに出展企業は増加しており、この分野の関心が高まっている。 ラバーガン、ダットサイト、防弾カバン……テロ対策展の出店ブースを大公開【写真】 このイベントは警察・消防・自衛隊などをはじめ、自治体関係者や関連企業など対象者限定・事前登録制の開催だが、SEECATに関しては別途登録審査が設けられており、見学者等はより限定されている完全クローズ開催なのである。 RISCONは防災メーカーや無線機メーカー、各自治体などが出展しているのに対し、SEECATは要人警護やソフトターゲットテロ対策、ドローン対策など多岐にわたる専門分野の企業が多数出展しているほか、外務省や公安調査庁などの省庁も出展しており、過去の実績等の展示や説明を職員らが行っていた。 また、毎日セミナーも行われており、国民保護に関する内容や銃撃・爆弾等による裂傷の止血や処置をテーマにした内容など多岐にわたるテロ対策のセミナーは連日満席の盛況ぶりだったという。 ◆中国製ドローンの“チャイナリスク” ロシアによる一方的で無慈悲なウクライナ侵攻でもウクライナ・ロシア両国ともにドローンを兵器として使用していることは有名であるが、日本国内においてもドローンを使用した攻撃の脅威は年々高まっている。 そしてまた、ドローンの普及とともに長らく中国製メーカーが世界シェアの多くを占めているが、ある治安関係者は「中国メーカーのドローンは電源をオフにしても、バッテリーを抜いていてもカメラが起動しており、飛行時の撮影データや保管場所等の様子が流出する可能性があることや、飛行軌跡が常時送信され続けている恐れがある『チャイナリスク』が危惧されるため、日本製または同盟国等の信頼できるメーカーのものでないと使えない。監視カメラ等も同様だ」と話す。 東芝のブースでは自律型捕獲用ドローンの組み立てデモンストレーションが行われており、専用ケースから取り出しわずか4分ほどで組み立てられるなど機動性をアピールしていた。 ◆過去には「死の商人」と揶揄されたことも…… また、ウクライナの企業KVERTUSも初出展しており、こちらは電波妨害を行い、ドローンを墜落させるジャミング機器を展示するなど、実際にロシアからの侵攻への対応を目的に実戦投入されている最新機器が揃っており、ドローン対策への関心は高まっている。 現に日本の治安当局もドローン対策に力を入れており、電磁ノイズを照射してドローンを撃ち落とすためのドローンガンやドローンを捕獲するドローンなど、多種多様なものが実戦投入されているのだ。また、いち早くドローンを検知できるレーダー機器等も導入しており、今や要人警護等の現場でも必須の装備品となっている。 他にも銃器関係の装備品も多く展示されており、自動小銃やライフルなどに装着するダットサイトやスコープ、レーザーサイトなどのメーカーも出展していた。 実際に旧モデル等を使用している関係者は「部隊の予算が潤沢ならいくらでも導入したいものは多い。ほぼ毎年来ているが実物を見て触れることは何物にも代えがたい。装備品の情報等を持ち帰り部隊で共有するが、購入にあたり上官等への説得が一番の難関です」と話していた。 また、実銃と同じ重量やサイズを模したラバーガンも展示されており、年々導入する治安機関は増えているという。メーカー担当者によれば「実銃を訓練で使用することは制約も多く、万が一破損した場合を考えるとラバーガンは壊れにくく頑丈で取り回しも良いと好評をいただいています」と話す。 他にも防弾ガラスや防弾盾、核爆発による電磁パルスから電子機器を防護する装置など多種多様なモノで溢れていた今回のイベント。出展者の一部からは過去に「死の商人」などと揶揄されたこともあったという。 しかしながら日本の治安維持は複雑化しており、刑法犯認知件数も2022年より2年連続で増加の一途を辿っている。犯罪に巻き込まれるリスクは増加しており、連続緊縛強盗など凶悪化する犯罪が多発している現状だ。安全安心な国、日本の治安向上のためには、きれいごとばかり言っていられない現代となってしまった。 取材・文・撮影:有村拓真
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